タイトル | サトウキビ属植物の効率的な染色体標本作製法 |
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担当機関 | (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 九州沖縄農業研究センター |
研究期間 | 2001~2004 |
研究担当者 |
伊禮 信 境垣内岳雄 氏原邦博 寺島義文 松岡 誠 杉本 明 福原誠司 |
発行年度 | 2004 |
要約 | 数が多く、サイズが小さいサトウキビ属植物の染色体を、精度良く観察する方法を開発した。根端組織を酵素解離し、プレパラート上で蒸気を当てた後に温熱乾燥処理することで、良好な染色体観察標本を作製することができる。 |
キーワード | 九州沖縄農研・作物機能開発部・さとうきび育種研究室 |
背景・ねらい | サトウキビ属植物は高次倍数性で染色体数が多く、製糖用品種の染色体数は2n=100-130である。染色体のサイズも小さいことから、明瞭な染色体像を得るためには熟練した技術と経験が必要である。種間交雑や倍数性の高い作物の育種では、染色体数やゲノムの構成を正確に把握する必要があるが、サトウキビにおいては染色体観察が容易でないことから、染色体情報は育種の現場で活用されることが少なかった。そこで、育種の現場での活用が容易で良好な染色体標本を、安定的に得るための効率的な方法を開発する。 |
成果の内容・特徴 | 1. サトウキビの種苗を水で湿らせた紙に包み、室内で発根させ、2~3cmに伸びた根を用いる。根端は冷水処理により前中期染色体を蓄積させ、固定した後、保存する(図1)。 2. 酵素解離した根端をスライドガラスに移し、固定液Bを滴下し、ピンセットで細かく潰す。固定液が乾燥を開始したときに、スライドガラスの試料側に蒸気をあて、アルミブロック恒温槽で急速に乾燥させると、染色体観察のための良好な標本ができる(図1)。 3. 酵素液の組成は2% w/v Cellulase Onozuka RS, 1% w/v Macerozyme R200, 0.3% w/v Pectolyase Y-23, 10mM citrate buffer, pH 4.8が適している。 4. この処理により染色体同士の重なりが少なくなり、明瞭に区別できる標本が安定して得られる。染色体標本の直径は従来の風乾法と比較して、約10%拡がる。(図2、表1)。 5. 従来法は室温や湿度条件に影響されやすく、観察に適した標本の作製には熟練を要したが、本法によって比較的容易に標本が作製できるようになる。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 蒸気および温熱乾燥処理は、処理時間を守ることが必要である。 2. 本手法は、サトウキビ属以外にも、染色体が小さく高次倍数性を示す作物の染色体観察に適用できる。 |
図表1 | |
図表2 | |
図表3 | |
カテゴリ | 育種 乾燥 さとうきび 品種 |