タイトル | 天候の影響を受けないそば穂発芽耐性の簡易検定法 |
---|---|
担当機関 | (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 九州沖縄農業研究センター |
研究期間 | 2003~2005 |
研究担当者 |
原 貴洋 松井勝弘 手塚隆久 |
発行年度 | 2005 |
要約 | そば品種・系統の穂発芽耐性を、熟期の差異や天候に左右されずに検定する方法を開発した。成熟程度を揃えるために黒化粒や黒化中の充実した粒を採取し、直ちに濾紙を敷いたシャーレに並べ、加水して蓋を閉めて暗黒条件下に置いて発芽数を検定値とする。 |
キーワード | ソバ、穂発芽、検定法 |
背景・ねらい | そばの種子は休眠性が弱いために成熟期の降雨により収穫前に穂発芽が発生しやすい。穂発芽は製麺適性を著しく悪くする重要な劣悪特性であるため、穂発芽耐性品種育成の要望が高い。品種育成を効率的に進めるには、気象や供試材料の熟期、栽培条件に影響を受けない選抜方法が必要である。圃場での穂発芽耐性検定は、穂発芽の発生がその年の降雨分布や降雨時の子実の成熟程度等を反映してしまうため、そば育種では圃場での検定が困難である。そこで、気象や熟期に影響されない穂発芽耐性の検定方法を開発する。 |
成果の内容・特徴 | 1. そばの穂発芽耐性の検定法は図1に示す通りである。直径9cmのシャーレを用いるときは20粒程度の供試種子が適当であり、濾紙に6ml蒸留水を加える。 2. 検定温度を20度と30度に設定したときの発芽数と圃場での穂発芽数との間には高い相関関係(それぞれr=0.99、r=0.97)が認められる(図2)。 3. 検定開始後日数と累積発芽数との関係は4日でほぼ最高に達し、5日以降の発芽は少ない(図3)。検定日数は4日が適当である。 4. 本検定法で選抜した穂発芽耐性の高い系統は翌年の播種期には問題なく発芽する(表1)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 本検定法はそば育成地における難穂発芽性個体の選抜及び穂発芽耐性の品種分類に利用できる。 2. 検定温度は成熟期の気温を参考にすることが現実的であり、西南暖地では20∼25度が適している。 3. 発芽種子の代謝物質などによる影響を少なくするために、調査後毎日発芽種子を除去する。 4. 成熟種子の前歴(成熟中の気象や植物体の栄養状態)が穂発芽に与える影響はまだ未解明であり、本検定法はできる限り同じ熟期の品種・系統について比較することが望ましい。 |
図表1 | |
図表2 | |
カテゴリ | 育種 簡易検定法 栽培条件 そば 播種 品種 |