タイトル | 妊娠牛の後大静脈と子宮静脈の合流位置の推定およびそこからの採血法 |
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担当機関 | (独)農業技術研究機構 畜産草地研究所 |
研究期間 | 1999~2001 |
研究担当者 |
西田武弘 安藤貞(近中四農研) 細田謙次 石田元彦 |
発行年度 | 2001 |
要約 | 起立位のまま妊娠牛の尾静脈からカテーテルを挿入することによって、子宮静脈と後大静脈との合流位置が推定でき、そこから採血することが出来る。 |
キーワード | 牛、尾静脈、子宮静脈、プロジェステロン、動物栄養 |
背景・ねらい | 妊娠子宮の養分吸収量が定量的に測定できれば、妊娠子宮の養分吸収量に及ぼす妊娠日齢、あるいは給与飼料の粗濃比や給与量の影響を明らかにすることができる。妊娠子宮の養分吸収量は、子宮動・静脈血中の成分濃度差と子宮動脈の血流量を測定し、それらを掛け合わせることで計算できる。子宮動脈への超音波血流量センサーを簡易に装着する手法は、すでに開発されている。そこで、子宮静脈血を簡易に採取する手 |
成果の内容・特徴 | 1. 乳用牛の尾静脈から大静脈経由で子宮静脈を目指してカテーテル(メディキット血管造影カテーテル、4.0F 、150cm、特別注文品)を挿入する(図1)。 2. 局所麻酔下で起立位のまま尾部表皮を切開し、尾静脈を目視確認しながら挿入する。挿入限界点からカテーテルを約5 または10cm 間隔で引き出すごとに血液を採取し、血中プロジェステロン濃度を測定し、その濃度を指標として、挿入部位からカテーテルが到達した距離により子宮静脈部位の推定を行う。 3. 3 年間で、11頭の牛を供試し、7頭で尾静脈へのカテーテル挿入に成功している。 4. No.1および3 牛の静脈血中プロジェステロン濃度は、カテーテル90cm~110cm挿入時に高濃度を示し、130cm挿入時まで、深部に達するに従って徐々に濃度が低下する傾向が観察された(図2)。No.18牛は、70cm挿入時に最高濃度を示した(図2)。このことから、子宮静脈から後大静脈への合流点は、尾部カテーテル挿入部位から110cmよりも浅い地点にあることが推察される。 5. 本研究は,草地試験場動物実験指針に従って実験を遂行した |
成果の活用面・留意点 | 1. 妊娠乳牛の尾静脈からカテーテルを挿入して、子宮静脈の血液を採取するための基礎 的な知見である。 2. 尾静脈へのカテーテル挿入には熟練が必要である。 3. 尾部にカテーテルを装着しているため、外れやすく、かつ挿入部位が不潔になりやす いため、長期の維持管理には注意が必要である。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
カテゴリ | 乳牛 |