タイトル | 出芽・初期生育時におけるサイレージ用とうもろこしの簡易な耐湿性検定法 |
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担当機関 | (独)農業技術研究機構 畜産草地研究所 |
研究期間 | 1999~2001 |
研究担当者 |
吉村義則 黒川俊二 |
発行年度 | 2001 |
要約 | 大型バットに給水用チューブと排水孔を設けてサイレージ用とうもろこしを生育させることで、出芽・初期生育時の耐湿性の検定が可能である。出芽と初期生育は、過湿により抑制され、抑制の程度には品種による差が認められる。 |
キーワード | 栽培、とうもろこし、出芽、初期生育、過湿、耐湿性、検定法 |
背景・ねらい | 近年不順な天候のため夏作飼料作物の生産は不安定なものとなっている。このような条件下、サイレージ用とうもろこしは夏作の中心作物となっているものの過湿条件に対して敏感な反応を示すことから、少しでも過湿に強い品種が求められている。そこで、サイレージ用とうもろこしについて、出芽・初期生育時の過湿に対する簡易な耐湿性検定法を考案し、市販品種を中心に過湿に対する反応を明らかにする。 |
成果の内容・特徴 | 1. 強化プラスティック製大型バット(長さ115cm、幅70cm、深さ20cm)の下端に給水用チューブ、上端に排水孔を設け、12度に傾斜させて長辺方向に沿って5cm間隔でとうもろこしを播種することで、冠水状態から地下水位20cmまでの1cmごとの水位でとうもろこしの生育反応を観察できる(図1)。 2. 播種後の特定の期間だけ過湿条件にするには、下端部を持ち上げて上端部よりやや高めに設置し、灌水余剰水を排水孔から排水し、育苗用バットとして播種する。過湿処理時には下端部を下げ、12度に傾斜させて過湿処理を行う。 3. サイレージ用とうもろこしの出芽は過湿により抑制され、抑制の程度には品種による差が明らかに認められる。また、品種によって出芽が揃うものと、出芽にむらがでるものとがあり、出芽抑制の様相も品種によって異なる(図2)。 4. 過湿の時期によっても生育への影響は異なり、播種後からの過湿処理と第3葉展開後からの過湿処理とでは影響のでかたが異なり、影響のでかたも品種によって異なる(図3)。 5. この検定法で、初期生育時において過湿の影響が少しでも小さいサイレージ用とうもろこし品種を選択することができる。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 圃場条件に合わせてこの方法で検定して品種を選択することにより、初期生育時に過湿になりやすい圃場でのとうもろこし生産への影響を軽減できる。 2. 基本的にサイレージ用とうもろこしは過湿に弱い作物であるので、過湿によって酸化還元電位が下がり2価の鉄が溶出するような土壌等の検定条件では影響が極端に現れ、品種の比較が難しくなるため、予備試験を行って処理条件を確認してから検定するのが望ましい。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
カテゴリ | 育苗 飼料作物 耐湿性 とうもろこし 播種 品種 |