間伐丸太材とシバをもちいた傾斜放牧草地における裸地修復法

タイトル 間伐丸太材とシバをもちいた傾斜放牧草地における裸地修復法
担当機関 (独)農業技術研究機構 畜産草地研究所
研究期間 1997~2001
研究担当者 山本 博
発行年度 2002
要約 放牧牛による強度の大きな歩行撹乱のために傾斜草地に発生する裸地には、間伐丸太材を斜面の表層土壌に方形状に埋め込んで土層を固定し、その方形枠内にシバ苗を植え付けることにより修復ができる。地表傾斜は25度まで可能である。
キーワード 永年草地・放牧、シバ、牧草、裸地修復、間伐材
背景・ねらい
傾斜放牧草地では、牛の歩行撹乱が大きい場合には傾斜した地形条件とあいまって裸地が形成されることがある。これを放置すれば土壌流出の発生源となって草地の荒廃を進行させる。そこで、この裸地に対して法面の砂防工事として用いられる枠保護工法を応用して、間伐などにより生産された丸太材を使って表層土壌を固定し牧草を生育させる修復法を開発する

成果の内容・特徴
1.
本方法は、はじめに、裸地部分に直径約10cmのカラマツなどの間伐丸太材を等高線方向とそれに直交する方向に約1~1.5m間隔で直径の約2/3を地表下に埋め込み、方形枠を作成し表層土壌の枠固定を図る(図1)。裸地斜面でのこの方形枠の設置は、面積2m×2mの裸地では2人で約1時間の作業ででき、材料費は約3000円と比較的安価である。
2.
次に、その方形枠中に牧草を生育させ修復をする。牧草定着には、オーチャードグラス(OG)とペレニアルライグラス(PR)の播種、およびシバ(JL)の苗移植とこれらの2種の組合わせ処理による比較試験(表1)の結果、JL単一区で植被率は初年度に72%となる(図2)。また2種の組み合わせにより2年目末に約70%(68%(PR+JL区)、73%(OG+JL区))に達することができる。しかし、OG、PRの単一草種区では被覆が遅れる。
3.
植被の構成は、JL区でシバが経年的に増加し、3年目末に54%になる(図3)。またOG+JLとPR+JLの組み合わせ区ではオーチャードグラスおよびペレニアルライグラスが減少するのに対し、シバは増加する。一方、シバを含まない区では、雑草が3年末に24~38%を占める。被覆草種の構成からは、シバの植え付けは雑草の繁茂をおさえ、シバ牧草の定着・成長とともに裸地の修復が進む(写真1)。
4.
本方法では、間伐丸太材をもちいて方形枠を裸地に設置することにより放牧牛の踏圧を減少させ植被が増加する。このため、放牧牛による土壌撹乱の大きな個所にできた裸地の修復に適する。また牧柵のような地表上に突起した工作物を用いずに、裸地の修復および拡大防止を進めることができ、地表傾斜は25度まで可能である。
成果の活用面・留意点
1.
北日本の黒ボク土壌地帯において適用できる。
2.
異なる土壌・気候条件については別に検討が必要である。
図表1 226768-1.gif
図表2 226768-2.gif
図表3 226768-3.gif
図表4 226768-4.gif
図表5 226768-5.gif
カテゴリ 病害虫 雑草 播種

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