ケールジュース残さサイレージの飼料特性

タイトル ケールジュース残さサイレージの飼料特性
担当機関 (独)農業技術研究機構 畜産草地研究所
研究期間 2001~2003
研究担当者 永西 修
川島知之
家木 一(愛媛畜試)
発行年度 2002
要約 ケールジュース残さサイレージの粗タンパク質含量はアルファルファヘイキューブと比較してほぼ同程度であるが、総繊維含量は低い。ケールジュース残さの可消化養分総量は70.6%と高く、良質な粗飼料に相当する。
キーワード 栄養価、ケールジュース残さサイレージ、飼料特性、飼料利用、乳牛
背景・ねらい
近年、健康に対する関心の高まりから野菜系ジュースの消費量が増加している。ケールはケールジュース(青汁)のほか、野菜ジュースの原料としても広く用いられており、これらのジュースを製造する際には副産物であるケールジュース残さが多量に産出する。ケールジュース残さにはタンパク質が多く含まれることから、家畜や家禽の飼料として有効に利用できれば、有望なタンパク質飼料になりうると考えられる。そこで、本研究ではケールジュース残さサイレージ(KS)の飼料化を図るために、日本在来種去勢ヤギを用いて消化率や栄養価を求めるとともに、給与に伴う第一胃内性状や血液性状への影響を検討する

成果の内容・特徴
1.
KS(乳酸菌製剤添加)のpHは3.8、酢酸、酪酸および乳酸含量は新鮮物中それぞれ0.2%、0.0%、3.3%であり、総窒素に占める揮発性塩基態窒素の割合は2.4%で良質なサイレージ発酵を示す。KSの飼料成分は一般的なアルファルファキューブ(AC)にCP含量は近く、OCW含量は低い(図1)。
2.
AC飼料(AC100%)とACにKSをDM比で1:1に混合した飼料(AK飼料)をそれぞれ日本在来種去勢ヤギ4頭にほぼ可消化養分総量(TDN)維持量の110%となるように給与し、外挿法によりKSの消化率と栄養価を求めた。その結果、KSの消化率はDMが70.8%、CPが72.4%、OCWが39.4%である。また、乾物当たりのTDNは70.6%、可消化エネルギーは14.6MJ、代謝エネルギーは13.4MJである(図2)。
3.
AC飼料およびAK飼料を給与したヤギの第一胃内容液pHは順に6.4、6.0、AP比は3.3、2.9、アンモニア態窒素(mg/dl)は10.9、24.0である。また、ヤギの血液性状も給与飼料による違いは認められず、溶血性貧血の指標のひとつであるヘモクロビン値および網状赤血球数はいずれの試験区も正常値の範囲である(図3)。
成果の活用面・留意点
1.
KSの粗タンパク質含量はACに近く、栄養価も良質な粗飼料に相当することから、タンパク質飼料として有望である。
2.
ケールを反芻家畜に多量に給与した場合に溶血性貧血が生じることが報告されていることから、牛用飼料としてのKSの適正な給与割合を生産性、第一胃内溶液性状、血液性状の面から明らかにする必要がある。
3.
硝酸態窒素含量が高い場合があるので、給与に当たっては予め硝酸態窒素含量の測定を行う。
図表1 226778-1.gif
図表2 226778-2.gif
図表3 226778-3.gif
カテゴリ アルファルファ ケール 乳牛 山羊

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