タイトル | 汚れ除去効果の高い乳頭洗浄機構 |
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担当機関 | (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 生物系特定産業技術研究支援センター |
研究期間 | 1998~2003 |
研究担当者 |
後藤 裕 平田 晃 |
発行年度 | 2003 |
要約 | 乳頭表面に洗浄液を噴射しながら汚れをブラシで擦り落とす仕組みをティートカップサイズに収めた乳頭洗浄機構であり、従来の乳頭清拭法と比較し、高い汚れ除去効果を示す。 |
キーワード | 乳牛、乳頭清拭、ブラシ、洗浄水、汚れ除去効果、飼育管理 |
背景・ねらい | 消費者の食品の安全性に対する関心は高く、生乳の衛生的乳質の重要性は言うまでもない。乳頭清拭は、搾乳前に乳頭に付着している汚れを拭い取る作業で、生乳中の細菌数を減少させるだけでなく、乳房炎予防並びに泌乳ホルモンの分泌を促す重要な作業である。特に乳房炎は、乳牛の廃用や産乳量の低下により北海道だけでも300億円という多大な経済的損失をもたらし、従来の乳頭清拭作業による汚れ除去効果は、必ずしも十分とはいえない。そこで、短時間に高い汚れ除去効果の得られる乳頭洗浄機構を提案する。 |
成果の内容・特徴 | 1. 本乳頭洗浄機構は、乳頭間隔の狭い乳牛に対応できるよう、外径φ55とほぼティートカップサイズの清拭カップ内に収納されている(図1、2)。 2. 乳頭側面に作用する外ブラシと、その内側で乳頭挿入深さに応じて上下し乳頭先端に作用する内ブラシは、モータにより正転・逆転する。また、乳頭挿入口は、厚さ0.5mmのシリコン膜で乳頭太さに応じて口径φ18からφ35まで伸縮する。挿入口内側には複数の洗浄液噴射ノズルを備えている。 3. 挿入口周辺から新鮮な洗浄液を乳頭表面に供給し、回転ブラシによって汚れを擦り、常時洗い流しながら、汚水を吸引排除することで洗浄効果を高め、清拭カップ内の汚染を抑えている。なお、洗浄水ポンプの流量は5mL/秒である。 4. 太さφ20~φ35、長さ35~80mmの乳頭に対応できる。乳頭挿入口は、乳頭を抜く時に付着水を掻き取ることができる。ただし、乳頭先端には洗浄液の水滴が残る。 5. 芽胞添加スラリー(107CFU/mL)に浸漬後風乾した乳頭を、本洗浄機構で各乳頭5~6秒程度清拭した場合(洗浄剤:シュアコンフォート0.2%溶液)、清拭前後の乳頭側面部と先端部の付着芽胞数の残存割合は、推奨されているプレディッピング法(有効ヨウ素0.1%、乳頭マッサージ無し、紙タオルで3回拭取り)より良好である。乳頭先端部は、プレディッピング後、脱水タオルで3回拭取る場合と遜色ない(表1)。 6. 搾乳前の実際の乳頭の汚れに対しては機械清拭(1乳頭当たり10秒)と殺菌作用のある洗浄液との組み合わせにより清拭効果が高まり、プレディッピング法(ミネソタ変法注)にほぼ近似した乳頭清拭(細菌除去)効果が得られる(表2)。 注)薬液浸漬後、汚れ溶解のため乳頭を3回ずつマッサージし、脱水タオルで拭取る。 |
成果の活用面・留意点 | 1. ミルキングパーラーや繋ぎ飼い式牛舎での乳頭清拭作業に適用可能な乳頭清拭装置を開発、実用化する場合の参考になる。 2. 実用化する場合には耐久性や衛生管理等を検討する必要がある。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
図表4 | ![]() |
カテゴリ | 乳牛 |