タイトル | 放牧生産子牛の哺育方法の相違が5か月齢時の体構成と消化管発達に与える影響 |
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担当機関 | (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 畜産草地研究所 |
研究期間 | 2003~2004 |
研究担当者 |
林 義朗 山口 学 |
発行年度 | 2004 |
要約 | 放牧哺乳子牛への別飼飼料給与は屠体の構成に影響しないが、人工哺乳子牛では成長に伴う変化が小さい。また、別飼飼料を給与した子牛では第一胃の絨毛層が発達するが、絨毛層の発達は低タンパク質の別飼飼料では小さくなる傾向がある。 |
キーワード | 家畜栄養、肉用牛、別飼飼料、哺乳子牛、体構成、第一胃 |
背景・ねらい | 放牧を利用した肉用牛生産で、子牛の発育向上をはかるには別飼飼料の給与や人工哺乳により親子分離を図るなどの手法がある。そこで、これらの哺育方法や別飼飼料の飼料成分の違いが、黒毛和種哺乳子牛の筋肉の発達、脂肪の蓄積および消化管発達に与える影響を検討する。 |
成果の内容・特徴 | 1. 放牧地で生産された新生子を用い、5か月間親子放牧(自然哺乳)あるいは人工哺乳を行った。放牧子牛は、別飼飼料を給与しない無給与区と別飼飼料の粗タンパク質(CP)含量によりLP区(CP含量9~12%)、MP区(CP15~17%)に分け、LP区とMP区では別飼飼料※(粗脂肪(EE)9~13%)を60日齢から体重の1%給与した。人工哺乳子牛(人工哺乳区)は、代用乳(TDN110%,粗脂肪20%)を黒毛和種の平均的泌乳量※※の7割給与し、濃厚飼料(CP15~17%、EE3%)を体重の1%給与、青刈り牧草を飽食させた。 ※油脂6%または脂肪酸カルシウム8~12%添加 ※※日本飼養標準 肉用牛(2000)による 2. 別飼飼料を給与開始した60日齢以降の発育速度は屠殺までの日増体量(DG)および空体重(EBW)増加速度で見ると飼育方法や別飼飼料成分による差がない(表1)。 3. 別飼飼料給与子牛(LP区およびMP区)と無給与区では枝肉中の脂肪、筋肉の割合に差がない。放牧子牛(無給与区、LP区、MP区)は60日齢時に比べ脂肪の割合が2.7~3.6%増加する。 4. 人工哺乳区では放牧子牛と比べて枝肉中の脂肪割合が低い傾向がある。また、人工哺乳区では9~11肋間の水分および脂肪含量が60日齢時と差がなく、放牧子牛に比べ成長に伴う成分変化が小さい傾向がある。これは、人工哺乳区では液状飼料の摂取量が低くエネルギー含量も母乳に比べ低いためと考えられる。 5. MP区では無給与に比べ第一胃組織中の絨毛層の比率が高くなる。一方、LP区では低タンパク質の別飼飼料給与により絨毛層の発達程度がMP区に比べ小さくなる傾向がある。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 別飼飼料給与、人工哺乳における飼料設計の基礎データとして活用する。 2. 別飼飼料への油脂添加について、脂肪酸カルシウム5%添加で無添加の場合と哺乳子牛の脂肪蓄積に差がないことが示されている(草地成果情報10号93ページ)。 |
図表1 | ![]() |
カテゴリ | 飼料設計 肉牛 |