タイトル | 畜産環境対策施設のコスト・環境影響評価プログラム |
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担当機関 | (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 畜産草地研究所 |
研究期間 | 2000~2004 |
研究担当者 |
田中康男 島田和宏 萩原一仁(三菱総研) |
発行年度 | 2004 |
要約 | 汚水浄化施設、堆肥化施設等の環境対策施設の導入または改造を検討する際に、飼養条件や目標処理性能に応じたランニングコスト、用地面積、環境影響の概要を把握するためのプログラムを作成した。 |
キーワード | 畜産環境、家畜ふん尿、ブタ、経済性、環境負荷 |
背景・ねらい | 養豚における畜産環境対策においては汚水処理及び堆肥化施設の整備が不可欠であるが、適切な計画を行うには、飼養条件や目標性能、規模に基づいた維持管理費や用地面積の概要を把握し、その最小化を図る検討が重要である。また、この際、総合的な環境負荷を低減する視点も重要である。しかしながら、これらの評価作業を具体的に行うことは容易ではない。このため特性評価を容易に行えるソフトウエアのプロトタイプを開発した。 |
成果の内容・特徴 | 1. 図1に示した構成のコンピュータープログラムにより、ふん尿分離型豚舎を有する養豚農家で密閉型堆肥化装置と活性汚泥法汚水浄化施設を導入するケース(図2)について飼料の種類や各種想定条件に応じた設計・コスト解析・環境負荷評価を自動的に行うことができる。 2. プログラムではまず飼料組成と飼養状況の情報を入力すると排泄物量予測プログラムにより排泄物量が計算される。次に浄化施設の目標水質と豚舎での固液分離率(ぼろ出し率)の数値を入力すると設計プログラムにより排泄物量に応じた装置設計が行われる。この設計結果により用地面積・ランニングコストが求められる。また、ライフサイクルアセスメント(LCA)プログラムにより設計数値に応じた環境負荷の評価が、エネルギー枯渇、温暖化、酸性雨、大気汚染、水質汚染の5種のカテゴリーについて行われる。 3. プログラムを用いた評価の一例として、豚舎における糞の分離率(ぼろ出し率)と窒素規制値の影響評価を行った。ぼろ出し率は50%、65%、80%の3段階、窒素規制濃度は1500、900、500、100 mg/Lの4段階を想定した。その他の条件は、処理対象頭数が肥育豚換算で5000頭、窒素以外の目標水質がBOD 60mg/L、リン8 mg/L、SS 120 mg/Lとした。図3に示したように、窒素規制値の強化に伴い面積が増大するが、ぼろ出し率の向上によりある程度は相殺できることがわかる。ランニングコストは、窒素規制値が厳しくなるとともに増大するが、ぼろ出し率の向上でコスト上昇が抑制された(図4)。LCA解析の結果では、エネルギー枯渇に対する影響がぼろ出し率の向上により低下することが予想された。以上の結果より、ボロ出し率向上はコスト面と環境負荷面の両面で効果的と予測された。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 環境対策施設の計画・改造において、特に慎重に考慮すべき因子を特定する目的での使用が効果的。 2. 使用した各種設計諸元及び環境負荷データの中には暫定的な部分があり今後適宜見直しが必要である。 3. プログラムを汎用的なものとするためには、特定の処理技術だけではなく、代表的な技術を網羅してプログラムに組み込む必要がある。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
図表4 | ![]() |
カテゴリ | 環境対策 コスト 豚 |