日本短角種の肉はメトミオグロビンの生成が遅い

タイトル 日本短角種の肉はメトミオグロビンの生成が遅い
担当機関 (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 東北農業研究センター
研究期間 2002~2006
研究担当者 近藤恒夫
村元隆行
東山雅一
発行年度 2004
要約 日本短角種の肉は黒毛和種の肉に比較して、枝肉格付での肉色の評価は低いが、貯蔵中の変色の指標であるメトミオグロビンの生成は遅い。
キーワード 日本短角種、黒毛和種、肉色、メトミオグロビン、肉用牛、畜産物・品質
背景・ねらい 一般に、日本短角種の肉は黒毛和種の肉に比較して、肉色が悪く、また貯蔵中の変色が速いといわれている。ところが、日本短角種と黒毛和種の肉色を詳細に比較した報告は少ない。そこで、日本短角種と黒毛和種の肉色および貯蔵中の変色の速さを、分光測色計による測定値で比較する。
成果の内容・特徴 1.
日本短角種は枝肉格付けでの「肉の光沢」の評価が低い。このことは、日本短角種の肉色の総合評価を下げる主な要因になっている(表1)。
2.
日本短角種のロース肉は明度が低い(表2)。このことは、日本短角種の「肉の光沢」の評価を下げる要因になっていると考えられる。
3.
貯蔵中の肉が変色するのは、肉の色素である赤色のミオグロビンが酸化され、茶褐色のメトミオグロビンが生成するためであるが、日本短角種のロース肉は貯蔵中のメトミオグロビン生成が遅い(図1)。
4.
ビタミンEには抗酸化性があり、3.5μg/g以上のビタミンEを含むロース肉では、メトミオグロビンの生成が遅いことが報告されているが、日本短角種のロース肉のビタミンE含量は2.6μg/gであり、また黒毛和種のロース肉との間にも差はみられない(表2)。
成果の活用面・留意点 1.
日本短角種の肉の新たな特徴として、試験研究機関だけでなく、生産者、流通業者、小売業者、および消費者へも情報提供される。
2.
10カ月齢から市販の配合飼料で肥育を行い、約28カ月齢で屠畜した去勢牛(各14頭)で比較した結果である。
3.
牛肉は、メトミオグロビン割合が30%を超えると変色したと判断される。
4.
肉の明度およびメトミオグロビン生成の速さに及ぼすビタミンE以外の要因については、今後の調査が必要である。
図表1 227051-1.gif
図表2 227051-2.gif
図表3 227051-3.gif
カテゴリ 肉牛

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