タイトル | 組換えトウモロコシ圃場の隣接圃場のトウモロコシの結実種子への組換え遺伝子の拡散 |
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担当機関 | (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 畜産草地研究所 |
研究期間 | 2001~2005 |
研究担当者 |
黄川田智洋 大同久明 伊東栄作 |
発行年度 | 2005 |
要約 | トウモロコシの除草剤グリホサート耐性遺伝子組換え品種と非組換え品種を隣接栽培した場合、非組換え品種に結実した後代のグリホサート抵抗性個体割合は組換え体から1.5mでは平均29.1%、組換体から30mでは、平均0.33%である。 |
キーワード | 遺伝子組換え体、除草剤耐性、遺伝子拡散、トウモロコシ、飼料作物育種 |
背景・ねらい | 我が国では、組換え作物については、遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律(カルタヘナ法)に基づいて隔離圃場で栽培・評価し、その安全性を確認している。しかし、市民参加のコンセンサス会議などからは、組換え作物の長期栽培が農業生態系に生育・生息する生物に及ぼす影響については、さらなる調査が求められている。 そこで、これらの要望に応えるため、すでに隔離栽培試験で安全性が確認されている、トウモロコシ除草剤耐性組換え品種と、組換え遺伝子の有無のみが異なる非組換え品種を用いて一般圃場で隣接栽培を行い、実規模で非組換え体後代へどの程度組換え遺伝子が拡散するか明らかにする。 |
成果の内容・特徴 | 1. 除草剤グリホサート抵抗性組換え品種20aに隣接し、抵抗性遺伝子の有無のみが異なる非組換え品種10aを4年間(2001―2004年)作付けし、非組換え品種の結実雌穂を、非組換え品種圃場全体を網羅するように200か所より採取した。組換え体と非組換え体で、開花期および絹糸抽出期の品種間差は無い(図1)。 2. 年次に関わらず、最も高い除草剤抵抗性個体割合は組換え体に最も近い畦(1.5m)でみられ、35%から45%程度で、4年間平均では29.1%である(図2、図3)。 3. 年次に関わらず、組換え体から最も離れた畦(30m)では後代の除草剤抵抗性個体割合は0%から1%程度で、4年間平均では0.33%である(図2、図3)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 試験に用いた除草剤抵抗性組換え体は片親のみが除草剤抵抗性を有するF1品種で、産生する花粉のうち除草剤抵抗性遺伝子を持つものと持たないものの比は1:1である。そのため組換え体との交雑率は今回の結果の2倍程度と推定できる。 2. 農家での実規模栽培による調査結果であり、栽培面積による遺伝子拡散希釈効果の基礎データとして活用できる。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
カテゴリ | 病害虫 育種 除草剤 飼料作物 抵抗性 抵抗性遺伝子 とうもろこし 品種 |