タイトル |
硝酸態窒素、カリウム含量が低いイタリアンライグラス新品種「優春」 |
担当機関 |
茨城畜セ |
研究期間 |
1997~2005 |
研究担当者 |
深沢芳隆
近藤 聡(雪印種苗)
原田久富美(畜草研)
荒川 明(畜草研)
小槙陽介(雪印種苗)
上山泰史
水野和彦(畜草研)
杉田紳一(畜草研)
川地太兵(畜草研)
矢萩久嗣
立花 正(雪印種苗)
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発行年度 |
2006 |
要約 |
「優春」は、硝酸態窒素、カリウム含量が他の早生品種と同程度かやや低い。出穂始日は「タチワセ」と同程度、収量は「ワセアオバ」よりやや低い。耐倒伏性は「タチワセ」より優れる。東北南部から九州地域までの積雪の少ない地域での利用が期待される。
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キーワード |
飼料作物育種、イタリアンライグラス、硝酸態窒素、カリウム、耐倒伏性
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背景・ねらい |
近年、家畜飼養頭数の増加に伴い、飼料畑に家畜ふん尿が過剰に還元される傾向にある。そのような畑で栽培された飼料作物には高濃度の硝酸態窒素(以下NO3-N)やカリウム(以下K)が蓄積されることがあり、牛に対して硝酸塩中毒や低カルシウム血症(またはグラステタニー)の発生が懸念される。そこでNO3-NやKを蓄積しにくい新品種の育成、普及を図ることにより、良質自給粗飼料の安定生産に貢献する。
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成果の内容・特徴 |
- 「優春」は、当場で選抜した低NO3-N系統(平成12年度草地飼料作研究成果情報)および畜産草地研究所で幼苗検定により選抜した低NO3-N集団(平成13年度 畜産草地研究成果情報)から育成された早生の2倍体品種である。
- 出穂始日は「ワセアオバ」より2日早く、「タチワセ」と同程度である(表2)。
- 畜産草地研究所での窒素多量施用条件下のNO3-N含量の検定において、2005年は総体的に低含量、2006年は高含量であった。その両年とも「優春」のNO3-N含量は供試品種中最も低い。その他の場所でも「優春」のNO3-N含量は他の供試品種より低い(表1)。
- K含量は「タチワセ」と同程度で、他の早生品種より低い(表1)。
- 東北南部から九州地域までの積雪の少ない地域における1番草および合計の乾物収量は「ワセアオバ」よりやや低く、「タチワセ」および「はたあおば」と同程度かやや低い(表2)。
- 耐倒伏性は「はたあおば」と同程度で「ワセアオバ」、「タチワセ」より優れる(表2)。
- 草丈は「ワセアオバ」、「タチワセ」と同程度である。乾物率は「ワセアオバ」、「タチワセ」より高い。冠さび病抵抗性は”弱”ないし”中”である。粗蛋白質含量、ADF含量は「ワセアオバ」および「タチワセ」と同程度である(表2)。
- 採種量は「ワセアオバ」および「タチワセ」と同程度である(表2)。
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成果の活用面・留意点 |
- 東北南部から九州地域までの積雪の少ない地域での利用が期待される。
- 「優春」のNO3-N、K含量は既存市販品種と比較しても低い水準にあるものの、著しく肥沃または多肥の条件下では、「優春」の利用だけで硝酸塩中毒、低カルシウム血症を回避できるレベルまでNO3-N、K含量を低下させることはできない。
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図表1 |
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図表2 |
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カテゴリ |
育種
イタリアンライグラス
飼料作物
新品種
抵抗性
品種
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