複合樹脂加工剤による絹織物の防しわ・黄変防止加工法

タイトル 複合樹脂加工剤による絹織物の防しわ・黄変防止加工法
担当機関 蚕糸・昆虫農業技術研究所
研究期間 1992~1993
研究担当者 加藤 弘
於保正弘
武部 豊
発行年度 1993
要約 厚生省令で定められた残留ホルマリン規制値(75μg/g以下)をクリヤーする安全性の高い加工方法を開発するため、3種類の繊維加工剤から成る複合樹脂加工法により耐久性のある乾・湿防しわ性と黄変防止効果が得られる加工法を確立した。
キーワード 安全性の高い、複合樹脂加工法、耐久性、乾・湿防しわ性、黄変防止効果
背景・ねらい すでに蚕糸・昆虫農業技術研究所では、絹織物の加工にジメチロールエチレン尿素と熱反応型を有する特殊な水溶性ウレタン樹脂を用いて、絹織物の欠点である防しわ性、耐摩耗性、黄変を改善できる加工法を開発した(特許第1567417号)。しかしながら、これまでの加工法による絹織物は、日時が経過するにしたがってホルマリンが遊離する問題があった。そこで、ジメチロールエチレン尿素の代替物質として、樹脂中の遊離ホルムアルデヒドの少ない耐加水分解性の優れたグリオキザール系樹脂を利用して、これに前記の熱反応型水溶性ウレタン、および新たにジアルキルヒドラジンを加えた3種類の繊維加工剤を複合使用した安全性の高い絹織物が得られる防しわ・黄変防止加工法の開発を目標とした。
成果の内容・特徴
  1. グリオキザール系樹脂に熱反応型水溶性ウレタンおよびジアルキルヒドラジンを加えた繊維加工剤を複合使用すると、5~10%の低重合付着率にも関わらず、絹織物の乾・湿両防しわ性、とくに湿潤時の防しわ性が20%~30%向上し、さらに現在最も効果のあるとされるチオ尿素・ホルマリン樹脂(TU)に匹敵する黄変防止効果が得られた(表1、図1)。
  2. 加工織物の残留ホルマリンはJIS試験により40~50μg/g検出された。これは厚生省令によるベビー用品のゼロ値に対しては不適格であるが、一般下着、パジャマ、靴下等の75μg/g以下である規制値は完全にクリヤーすることが確認された(表1)。
  3. 本加工法では樹脂を絹に直接反応固着させるので、洗濯などによっても加工効果が失われない耐久性に優れたものとなった(図2)。しかも、ウレタン樹脂の柔軟かつ弾性に富んだ皮膜の形成によって、デリケートな繊維表面が保護されるので絹本来の風合い、柔軟性、吸湿性が損なわれることがない。
成果の活用面・留意点 パッド・ドライ・キュアー加工機が導入されれば直ちに実行可能であり、本加工法の活用に当たって問題点は特にない。
図表1 227236-1.gif
図表2 227236-2.gif
図表3 227236-3.gif
図表4 227236-4.png
図表5 227236-5.png
図表6 227236-6.png
カテゴリ 加工 くり

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