RAPD法によるカイコの系統分類

タイトル RAPD法によるカイコの系統分類
担当機関 遺伝素材研究室
研究期間 1994~1998
研究担当者
発行年度 1994
要約 保存品種を主体とするカイコ142品種を対象に、RAPD法による系統分類を行い、地理的な分布や化性・眠性といった形質との関連性を検討したところ、基本的に従来の定説と合致する結果が得られた。 
背景・ねらい RAPD法(ランダム増幅多型DNA)による品種の同定や系統分類は、近年、様々な家畜や作物等に対して応用されてきており、従来行われてきたような形態やアイソザイム解析といった方法に比べて、客観的で定量的な評価がより少ない労力で可能になってきている。
カイコにおいてもこれまでに種々の系統分類の努力がなされてきたが、全体を網羅した充分な精度の分類には至っていない。そこで、RAPD法によるカイコの品種の分類・同定に関する技術的可能性を検討するために、本所において保存されている地理的品種、眠性種を中心とした142品種をモデル系として系統分類を試みる。
成果の内容・特徴
  1. 解析に用いるマーカーを得るために、標準系統として「支108」と「大造」の2系統を選び、両者の間の多型解析を300組の10-merのプライマーの組み合わせで行った。この中から系統分類に適すると考えられたプライマーセット10組を選び、142品種の総計229本のバンドを評価に用いて画像解析装置を使用した系統分類を行った。
  2. 日本種は「角又(静岡)」と「琉球多蚕繭」を除く全てが同じグループの中に入り、遺伝的に近縁度の高い集団であることが示唆された。欧州種や熱帯種も比較的均一な集団であった。対照的に中国種は遺伝的な多様性の高い集団であり、家蚕の起源が中国にもあるといわれていることによく一致する
    (図1)。
  3. 眠性と化性に関しては、同じ集団へ入る傾向が強いのは化性の方であり、もともと1化性だったものから2化性や多化性のものが、後で分化したものと考えられる。
成果の活用面・留意点 今後、実用品種等に対象を広げることにより、遺伝資源管理や品種育成過程の把握に資することが期待される。
図表1 227259-1.gif
カテゴリ 遺伝資源 カイコ 品種

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