昆虫の脳神径活動の高時空間分解能解析のための光学的多点計測システム

タイトル 昆虫の脳神径活動の高時空間分解能解析のための光学的多点計測システム
担当機関 蚕糸・昆虫農業技術研究所
研究期間 1994~1997
研究担当者
発行年度 1994
要約 昆虫脳の複数の神経細胞の活動を高速(時間分解能:0.6msec)、高分解能 (128X128画素)のリアルタイムの画像として捉え、解析することの出来る光学的計測システムを構築し、雄ワモンゴキブリの嗅覚神経系回路の神経活動を、視覚化することに成功した。
背景・ねらい 脳・神経系の機能を明らかにするためには、個々の神経細胞レベルで行われる情報処理メカニズムの研究とともに、多数の個性の異なる神経細胞が一体となって動作し、遂行される情報処理のメカニズムの解明が重要である。近年、このような素子としての個々の神経細胞の活動システムとしての神経回路の活動の同時観測を可能にする光学的計測法が注目されている。しかし、これまで、昆虫の脳神経系にこの手法が適用された例はない。
そこで、昆虫脳内の複数の神経細胞の活動を、高い時・空間分解能で測定できる光学的計測システムの構築を目指す。
成果の内容・特徴
  1. ワモンゴキブリの脳を膜電位感受性色素で染色し、脳活動にともなう膜電位変化を光変化に変換して計測するための色素を検索した。その結果、膜電位感受性色素のRH414、RH795は脳をよく染色し、染色した脳の神経細胞活動は無染色脳のそれと同様であることから、これらの色素は脳の性質を変化させたり毒性を示したりしないことがわかった。
  2. 昆虫のin vivo脳の神経活動を高い時間分解能と空間分解能で、脳表を神経興奮が伝わる様子をイメージすることの出来る光学的計測・記録システム
    (図1)を完成させた。そして、このシステムを用いて、RH414あるいはRH795で染色した脳の嗅覚神経系回路から神経活動そのものを捉えた外因性の光シグナルを計測し、これらのシグナルに疑似カラーをつけて時間経過とともに神経活動パターンが時間的・空間的に変化する様子を観察することができた
    (図2)。
成果の活用面・留意点 神経活動そのものを捉える外因性光シグナル計測による、昆虫の脳神経機能解析が可能であることを初めて示した。これにより、従来の電気生理学的手法や形態学的手法では解析することが難しい神経回路レベルでの情報処理メカニズムの解明が可能になった。
図表1 227264-1.gif
図表2 227264-2.gif
カテゴリ カラー

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