カイコ抗菌性蛋白質セクロピンB遺伝子の発現調節機構の解析

タイトル カイコ抗菌性蛋白質セクロピンB遺伝子の発現調節機構の解析
担当機関 蚕糸・昆虫農業技術研究所
研究期間 1994~1997
研究担当者
発行年度 1994
要約 カイコゲノム上にセクロピンB遺伝子が2個連続して存在することが明らかとなり、同遺伝子の5'上流にNF-kB結合配列とインターロイキン6(IL6)応答配列があることを確認した。このことから、昆虫と哺乳類では同様の生体防御蛋白質遺伝子の制御機構があることが示唆された。
背景・ねらい 昆虫の抗菌性蛋白質やレクチン等の生体防御蛋白質は細菌の昆虫体内への侵入に伴い、同時に誘導されることが知られている。これらの生体防御蛋白質の中にはグラム陰性細菌の細胞外膜構成成分であるリポポリサッカライド(LPS)によって誘導されるものがあるが、一方グラム陽性細菌によっても誘導されるものや、さらに生体防御のみならず発生段階でも発現する例もあることから、これらの遺伝子の発現調節機構は不明な点が多く残されている。本研究においては、カイコ抗菌性蛋白質セクロピンBのゲノム遺伝子を単離し、遺伝子構造を明らかにすることにより発現誘導機構の解明を試みる。
成果の内容・特徴
  1. cDNA及びゲノム遺伝子のサザンブロット解析により、少なくとも6個のセクロピン遺伝子が存在することが明らかとなった。
  2. セクロピンB遺伝子が2個連続して存在するクローンが単離され、全塩基配列が決定された
    (図1)。
  3. 5'上流活性制御領域にTATAボックス、CAATボックス等の典型的なプロモーターが存在し、さらにNF-kB結合配列、IL-6応答配列が確認された
    (図2)。
    NF-kB結合配列は哺乳類の生体防御関連の急性期蛋白質の遺伝子上流に存在することから生体防御関連遺伝子の調節に、哺乳類と昆虫共通の機構があることが示唆される。一方、IL-6のようなサイトカインは昆虫においてはまだ未同定であるが、IL-6応答配列の存在は昆虫にも哺乳類同様サイトカインが存在する可能性を暗示している。
成果の活用面・留意点 この結果は、昆虫の生体防御関連蛋白質遺伝子の発現同時誘導機構を一般化するための基礎的な資料となると同時に、昆虫サイトカイン探索研究の原点の一つとなり得る。
図表1 227267-1.gif
図表2 227267-2.gif
カテゴリ カイコ

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