家蚕幼虫によるアンモニウム塩の利用

タイトル 家蚕幼虫によるアンモニウム塩の利用
担当機関 蚕糸・昆虫農業技術研究所
研究期間 1994~1995
研究担当者
発行年度 1994
要約 アミノ酸飼料を用いて、家蚕におけるアンモニウム塩の栄養効果を検討したところ、幼虫はアンモニウム塩をアミノ酸やタンパク質の合成に利用することが示唆された。
背景・ねらい 家蚕はアミノ酸を素材として蚕体や絹糸タンパクを合成しており、各種アミノ酸の必須性や要求量などが明らかにされている。一方、アミノ酸の利用過程において生じるアンモニアは、植物ではグルタミンやアスパラギンの形で体内に蓄積されるが、昆虫ではそのまま、あるいは尿素や尿酸に転化してから体外に排泄される。このため、家蚕幼虫がアミノ酸の脱アミノ的分解によって生じるアンモニアをアミノ酸やタンパク質の合成に利用しうるか否かは、窒素代謝の制御機構を明らかにするばかりでなく、絹糸タンパク質の効率的な合成面からも極めて重要な課題である。
成果の内容・特徴
  1. 必須アミノ酸混合物だけを含む人工飼料に、クエン酸アンモニウム(以下、NH3塩)、グルタミン酸カリウム(以下、Glu-K)または非必須アミノ酸混合物を添加し、5齢幼虫を飼育した。その結果、NH3塩を添加した飼料でも、Glu-Kや非必須アミノ酸混合物を添加した飼料と同様に、5齢幼虫の成長は良好で、特に絹糸腺の成長が著しく促進された(表1)。
  2. 体液中の遊離アミノ酸濃度は各飼料区間で差は認められず、ほぼ一定の値であったが、タンパク質濃度は飼料中のNH3塩やGlu-Kの添加量が増加するに従って高くなり、結果として遊離アミノ酸量に対するタンパク質の比率は著しく上昇した(表2)。
  3. 飼料中にNH3塩やGlu-Kを添加すると、体液中の必須アミノ酸が減少し、非必須アミノ酸、特にグリシン、グルタミン、アスパラギン、セリンが著しく増加した(図1)。
成果の活用面・留意点 家蚕における窒素代謝および窒素利用効率の向上に関する研究を進める上で、極めて重要な発見であり、基礎的知見として活用される。
図表1 227278-1.gif
図表2 227278-2.gif
図表3 227278-3.gif
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