タイトル |
卵黄抗体の添食による蚕核多角体病ウイルスの感染予防 |
担当機関 |
蚕糸・昆虫農業技術研究所 |
研究期間 |
1994~1995 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1994 |
要約 |
ニワトリの雌を蚕核多角体病ウイルスで免疫し、産下卵に含まれる卵黄抗体を幼虫に添食投与しておくと、その後、かなりの核多角体病ウイルスを取り込んでも感染を免れることが明らかにされた。
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背景・ねらい |
核多角体病の防除法としては、ホルマリンによる蚕室・蚕具等の徹底消毒が励行されているが、人体に対する影響や刺激臭などから必ずしも徹底されず、しばしば違作の原因となっている。そこで蚕核多角体病ウイルスに対する抗体を利用して、蚕への感染防止を図る新たな手法を開発することが重要な課題となっている。本研究においては、核多角体病ウイルスで免疫したニワトリの産下卵から卵黄抗体を採取し、この卵黄抗体を蚕に添食して、同ウイルスに対する感染阻止または発病抑制を図る。
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成果の内容・特徴 |
- 包埋型の核多角体病ウイルスとアジュバンドの混合液をニワトリの雌に筋肉注射し、その産下卵から卵黄抗体を調製した。
- 核多角体病ウイルスに感染する以前に、幼虫に卵黄抗体を投与しておけば、ある程度のウイルス濃度まで、感染が阻止されることが明らかとなった(表1)。
- 核多角体濃度が106~107/ml程度までは感染に対する阻止効果が認められたが、それ以上の濃度では阻止効果が見られなかった(表2)。
- 卵黄抗体の希釈液としてプロピオン酸を用いると、抗体の効果は失われた。
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成果の活用面・留意点 |
本研究の結果から、卵黄抗体による核多角体病ウイルスの感染阻止効果は認められたが、今後はさらに抗体の力価を上げ、抗体力価と感染阻止力との関係を明らかにするとともに、高力価抗体の作製法や添食用抗体の安定化技術などを確立する必要がある。
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図表1 |
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図表2 |
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カテゴリ |
病害虫
鶏
防除
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