タイトル |
鱗翅目害虫の卵塊に付着する鱗毛が卵寄生蜂メアカタマゴバチの産卵行動に与える影響 |
担当機関 |
中国農業試験場 |
研究期間 |
1994~1995 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1994 |
要約 |
卵寄生蜂メアカタマゴバチTrichogramma chilonisは、鱗毛を除去したハスモンヨトウの卵塊に産卵するが、鱗毛が付着したままの卵塊には産卵しない。それゆえ産付した卵もしくは卵塊を鱗毛で覆い隠す鱗翅目害虫の生物的防除にメアカタマゴバチを利用しても、的確な効果は期待できない。
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背景・ねらい |
多くの害虫の卵もしくは卵塊は、鞘、鱗毛、剛毛、排泄物、絹糸、泡などで覆われている。これらの物質は天敵の攻撃に対して防御的効果を持っている可能性がある。したがって、卵寄生蜂を利用する生物的防除に際しては、卵もしくは卵塊を覆う物質が、卵寄生蜂の産卵行動に与える影響を知る必要がある。そこで、鱗翅目害虫の密度制御因子とされるメアカタマゴバチの産卵行動が、鱗毛によりどの程度制御されるかを実体顕微鏡下で観察し、天敵利用のための基礎資料とする。
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成果の内容・特徴 |
- メアカタマゴバチは鱗毛をきれいに除去したハスモンヨトウの卵粒に対して、通常観察される一連の産卵行動を示し、産卵率も高い(表1)。
- メアカタマゴバチは鱗毛を除去したハスモンヨトウの卵塊にすべて産卵するが、鱗毛が付着したままの卵塊には産卵しない(表2)。
- 以上の結果から、メアカタマゴバチはハスモンヨトウの卵を寄主として認識するものの、卵塊を覆う鱗毛により産卵を阻害されると結論され、ハスモンヨトウの密度制御因子としてのメアカタマゴバチの利用は十分な効果が期待できない。
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成果の活用面・留意点 |
卵寄生蜂を利用した生物的防除に際し、害虫の卵もしくは卵塊を覆う物質の影響を把握する必要性が確認され、これらの鱗毛が卵寄生蜂の産卵に影響を及ぼさないとする従来の知見を再検討すべきと考える。
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図表1 |
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図表2 |
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カテゴリ |
病害虫
害虫
生物的防除
天敵利用
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