カイコvasa様遺伝子の単離

タイトル カイコvasa様遺伝子の単離
担当機関 蚕糸・昆虫農業技術研究所
研究期間 1995~1997
研究担当者 中尾 肇
今西重雄
発行年度 1995
要約 カイコ生殖細胞を識別するマーカーを得るため、卵巣に発現するDEAD BOXファミリー遣伝子について検索したところ、カイコ雌雄生殖巣特異的に発現するショウジョウバエvasaに類似した特徴を持つcDNAが単離された。
背景・ねらい カイコ生殖細胞培養系作出の際に有用となる生殖細胞を識別するマーカーの検索を試みる。DEAD BOXファミリーとして知られるRNAへリカーゼ遺伝子群は幅広い動物種において生殖細胞特異的に発現する数多くの遺伝子を含むことから、その進化的に保存されたアミノ酸配列をもとに合成したプライマーを利用したRT-PCR法により、卵巣に発現するファミリー遺伝子cDNAの増幅を行い、クローン化し、その中から生殖細胞特異的なものを選抜する。
成果の内容・特徴
  1. 検索の結果、卵巣に発現するファミリー遺伝子cDNAとして5種類が得られ、その中にマウス精巣特異的なPL10及ぴショウジョウバエ生殖細胞特異的なvasaと比較的高い相同性を持つものが得られた(表1)。
  2. 上記した2種類のcDNAを用いてカイコ幼虫組織におけるその発現特異性の解析をノーザン法により行ったところ、前者に組織特異性は無かったが後者は生殖巣に特異的であった(図1)。
  3. 後者のcDNAをもとにカイコ卵巣cDNAライブラリーをスクリーニングし全オープンリーディングフレームを含むクローンを得た。その塩基配列を解析したところ、予想されるアミノ酸配列のN末側にグリシンに富んだ領域を持つというvasaと似た特徴を持つことが明らかになった(図2)。
成果の活用面・留意点 今回得られたcDNAが生殖細胞特異的であるか否かは明らかではないが、vasaに類似するという特徴から生殖細胞を特異的に識別するマーカーとしての利用が十分に期待される。またvasaはショウジョウバエにおいて胚発生及び生殖系列形成に関わることが知られており、カイコにおいて研究の進んでいないこれらの分野の基礎的研究への貢献が期待される。
図表1 227285-1.gif
図表2 227285-2.gif
図表3 227285-3.gif
カテゴリ カイコ

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