タイトル |
タイワンキドクガの卵寄生蜂の寄生探索におけるカイロモン |
担当機関 |
蚕糸・昆虫農業技術研究所生体情報部 |
研究期間 |
1995~1995 |
研究担当者 |
新垣則雄
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発行年度 |
1995 |
要約 |
タイワンキドクガの卵寄生蜂ドクガクロタマゴバチは、寄主雌成虫が放出する性フェロモンをカイロモンとして利用し、便乗によって寄主卵に到達している。
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背景・ねらい |
卵寄生蜂ドクガクロタマゴバチTelenomus euproctidisは、タイワンキドクガ雌成虫の腹部末端の毛東に潜り込み、ガの産卵場所まで運ばれていく、いわゆる便乗(phoresy)をしている。この寄生蜂が、ガの雌成虫をどのように探索しているかを明らかにする。
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成果の内容・特徴 |
- 卵寄生蜂ドクガクロタマゴバチは、タイワンキドクガの腹部未端の毛束の中に潜り込み、便乗によってガの産卵場所まで運ばれていく(図 1)。そしてガが卵を産み出すと、毛束から出てきてこれらのガの卵に自分の卵を産みつけていく。
- タイワンキドクガの処女雌に誘引されたドクガクロタマゴバチの個体数は、既交尾雌のそれよりも6倍も多く、その差は有意であった(表 1)。
- タイワンキドクガの性フェロモンのB成分(16Me‐Z9-17:iBu)単独、またはB成分とA成分(16Me‐17:iBu)の混合物に、ドクガクロタマゴバチ雌成虫に対する顕著な誘引活性が認められた(図 2)。
- これらの事実は、ドクガクロタマゴバチは、タイワンキドクガの雌成虫の放出する性フェロモンを探索の手がかりとして利用していることを示している。
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成果の活用面・留意点 |
この卵寄生蜂がガの性フェロモンに誘引されることを利用して、卵寄生蜂の移動能力や生存率などの調査に際して、放飼した寄生蜂を回収するシステムとして利用できる。また、ガの合成性フェロモンを野外に設置することによって、これらの卵寄生蜂を誘引し、探索活動を活発化させることによって、寄生率の向上を図る新しい応用技術の可能性が考えられる。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
性フェロモン
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