カイコ蛹脱皮殻からの水溶性キチンの調製

タイトル カイコ蛹脱皮殻からの水溶性キチンの調製
担当機関 蚕糸・昆虫農業技術研究所
研究期間 1995~1999
研究担当者 羽賀篤信
馬越芳子
発行年度 1995
要約 カイコから調製した精製キチンを用いて、均一水溶液系での脱アセチル化反応により、74%の収率で水溶性の脱アセチルキチン調製できた。この水溶性キチンの水吸着量、吸湿性は調製前に比べて向上した。
背景・ねらい 甲殻類の表皮からとれる天然高分子であるキチンおよびその誘導体の特異的機能が明らかになるにつれて、広範な分野において利用開発が展開されている。しかし、昆虫に由来するキチンの利用技術の開発研究は緒についたばかりである。キチンは水や一般的な有機溶媒に不溶であり、溶媒は少ない。そこで、キチンの効率的利用のため、水溶性キチンの調製法を得る。
成果の内容・特徴
  1. 2N塩酸/1N水酸化ナトリウム/95%エタノールの組み合わせによる精製条件を決定し、カイコ蛹脱皮殻(広食性蚕品種「しんあさぎり」)から24.0%の収率でキチンを得た。
  2. 調製したキチンを用いて、均一水溶液系での脱アセチル化反応により、74%の収率で水に溶ける部分脱アセチルキチンを得た(図 1)。
  3. 甲殻類では脱アセチル化度が45%から55>%の問に調製された場合に限り溶解性が発現するが、カイコ蛹脱皮殻から調製された部分脱アセチルキチンの脱アセチル化度も、IRスペクトル法から45%から48%の間にあることが確認された(図 2)。
  4. 水分子吸着実験から、部分脱アセチルキチンの20℃65%RHおよぴ20℃95%RHにおける水の吸着量は、反応前のキチンに比較してそれぞれ2.8倍、6.3倍となり高い吸湿性を示した(図 3)。
成果の活用面・留意点
  1. カイコ蛹脱皮殻から調製された部分脱アセチルキチンは、水に可溶な水溶性誘導体として、均一系での化学修飾を可能にする。
  2. 得られた水溶性キチンは高吸湿性キチンとして、吸湿剤・保湿剤への利用を可能とする。
図表1 227292-1.gif
図表2 227292-2.gif
図表3 227292-3.gif
カテゴリ カイコ 品種

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