紫外線を照射した桑葉における抗菌性物質の生成

タイトル 紫外線を照射した桑葉における抗菌性物質の生成
担当機関 蚕糸・昆虫農業技術研究所
研究期間 1995~1995
研究担当者 白田昭
発行年度 1995
要約 桑葉に約1週間で死に至る程度の紫外線を照射したところ、モラシンC、M、Nなど1~6種の抗菌性物質を生成した。これらの物質は病原菌の侵入時に誘導されるファイトアレキシンとも共通しており、桑が持つ病害抵抗性因子の一つであると考えられた。また、誘導される抗菌性物質の種類や量は、品種によって異なることが明らかとなった。
背景・ねらい 桑は進化の過程で、外敵から自分を守る様々な能力を獲得してきた。これら獲得された能力は潜在的なもので、外から強い刺激(ストレス)を受けて初めて出現してくることが多い。病害、虫害、薬害、汚染害など各種ストレスに対する桑の生体防御反応を解明できれぱ、その生体防御反応を強化するなど、被害を小さくする技術の開発につながる。また、抗菌性物質の生成能力は、桑育種分野における選抜指標の一つになると考えられる。
成果の内容・特徴
  1. 桑葉に紫外線(波長230~310nm)を照射すると褐変が誘導された。殺菌灯を30㎝離して使用した場合、褐変は15秒以内の照射でも誘導されたが、1~5分間の照射が最適であった。褐変速度は照射後の温度に依存し、高温ほど速く、25℃では17時間後から褐変しはじめ、4~5日でピークに達した。
  2. 桑葉における抗菌性物質の誘導は、1分間の紫外線照射で認められ、最適時間5~25分であった。誘導速度は褐変と比例し、抗菌性物質は25℃では15時間から、10℃では2~3日後から検出された。また、誘導される時間は抗菌物質の種類によって差が認められた(図 1)。誘導された抗菌性物質は1~6種で、その種類や量は品種によって異なった(図2)。260品種について調べたところ、多くの品種に共通する抗菌性物質がみられる一方、毛桑(図 2:A)などでは共通する抗菌性物質が誘導されず、品種特有の抗菌性物質が誘導されることが明らかとなった。
成果の活用面・留意点 桑葉に誘導される抗菌性物質の種類と量が品種によって異なったことから、抗菌性物質の生産能は桑品種を育種・選抜するときの指標として利用できる。また、誘導された抗菌物質は、農薬あるいは医薬素材としての活用が期待される。
図表1 227297-1.jpg
図表2 227297-2.jpg
カテゴリ 病害虫 育種 害虫 農薬 病害抵抗性 品種

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