遺伝子発現レベルにおけるカイコの形態形成異常系統の解析

タイトル 遺伝子発現レベルにおけるカイコの形態形成異常系統の解析
担当機関 蚕糸・昆虫農業技術研究所
研究期間 1995~1996
研究担当者 間瀬啓介
発行年度 1995
要約 カイコの胸部形成異常系統Ncと腹部形成異常系統 ENについてホールマウントin situハイブリダイゼーションを行いNcはBmAntp遺伝子のホメオボックス領域を欠失しており、ENは腹部でのBmAntp遺伝子の発現を抑制する機能が欠如していることを遺伝子発現レベルにおいて明らかにした。
背景・ねらい カイコの品種や系統を遺伝子レベルで同定し、その特性を解明することは、育種面への利用という点からも期待されている。すでにサザン法によって遺伝子の構造変異を、ホールマウントin situハイプリダイゼーション法によって発現様式を解析する方法が確立されたところから、異なる遺伝子型をもつ系統を個体の発現レベルで解明する。
成果の内容・特徴
  1. 形態形成異常系統の遺伝子型の違いによるBmAntp遺伝子の発現パターンを個体レベルで検出した結果、胸部形成異常系統であるNcと腹部形成異常系統である ENがBmAntp遺伝子の機能に関与する系統であることがわかった。
  2. NcはBmAntp遺伝子の5'上流域は発現しているが(図 1.左上)、ホメオボックス領域では発現していないため胸部が正常に形成されないことを明らかにした(図 1.左下)。
  3. ENはBmAntp遺伝子の発現を抑制する機能が欠如しているため、腹部においてBmAntp遺伝子が過剰発現し、このことが形態異常を起こす原因の一つであることを明らかにした(図 1.右上)。
  4. ENについて腹部におけるBmAntp遺伝子の過剰発現は、ホモ型の胚(図 1.右上)では強く、正常型(図 1.右中)ではわずかであり、形態的に正常型と識別できないヘテロ型(図 1.右下)ではその中間であったことから、EN遺伝子のBmAntp遺伝子に対する抑制効果は遺伝子の量によって異なる(遺伝子量効果)ことが判明した。
成果の活用面・留意点 本方法は蚕品種の特性解明を遺伝子発現レベルで解析するのに有効であるが、品種特性の発現に関わる多くの遺伝子を単離、同定してプローブに用いる必要がある。
図表1 227304-1.jpg
カテゴリ 育種 カイコ 品種

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