タイトル |
春用広食性蚕品種「春嶺×鐘月8号」 |
担当機関 |
蚕糸・昆虫農業技術研究所 |
研究期間 |
1989~1993 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1996 |
要約 |
春用広食性蚕品種「春嶺×鐘月8号」は、民間との共同研究によって育成された。本種は日中四元交雑種の二化性白繭種で、1齢~4齢低コスト人工飼料育に適するとともに、作柄が安定し生糸量歩合が高い特徴を有する。
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背景・ねらい |
安価で良質な原料繭の生産を行うために、飼育が容易で、繭収量が多く繭糸質が優れた低コスト人工飼料育に適する蚕品種の開発が待たれている。そこで、民間企業との共同研究によって、優れた摂食性と低コスト人工飼料育に適合性の高い育種素材と強健で普及性のある育種素材とを利用して、実用性の高い広食性蚕品種の開発を行う。
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成果の内容・特徴 |
- 既存の実用蚕品種「あさぎり」と「春嶺×鐘月」を素材として、国と民間が共同で実用性の高い広食性蚕品種を作出した。本品種は二化性白繭種の日中四元交雑種であり、1齢~4齢を低コスト人工飼料飼育し、5齢を桑葉で飼育するのに適する広食性蚕品種で、作柄が安定し生糸量歩合が高い(表1)。
- 本品種は春用の広食性蚕品種「春8号・嶺8号×鐘8号・月8号」として指定され、愛称を「春嶺×鐘月8号」と命名された。
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成果の活用面・留意点 |
- 本品種は、低コスト人工飼料での飼育において幼虫の成長が早いので、眠起の取扱いには特に注意が必要であり、餉食は早目に行う。
- 虫質は強健で、食欲旺盛、眼起斉一など飼育は容易であるが、本種の能力を発揮させるため1齢~4齢の後半期での給餌と5齢盛食期の給桑は飽食させることが肝要である。また、就眠時には発育の揃いに注意し、蚕座の除湿と乾燥に心掛ける必要がある。
- 解じょ率を低下させることのないよう、上蔟室の通風・換気と除湿に努める必要がある。
- 幼虫の斑紋は形であるがまれに姫を混ずることがある。
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図表1 |
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カテゴリ |
育種
乾燥
桑
低コスト
品種
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