ハリクチブトカメムシの捕食行動の化学的解発因

タイトル ハリクチブトカメムシの捕食行動の化学的解発因
担当機関 蚕糸・昆虫農業技術研究所
研究期間 1995~1996
研究担当者
発行年度 1996
要約 捕食性カメムシであるハリクチブトカメムシの捕食行動の化学的解発因として、ハスモンヨトウ幼虫抽出物から、誘引物質としてペンタデカンを、口吻伸長活性物質としてE-フィトールをそれぞれ同定した。
背景・ねらい 捕食性昆虫はしばしば植食性昆虫の密度制御要因として機能しており、殺虫剤散布のみに頼らない総合的害虫管理の一素材としての捕食性天敵の利用にも期待が高まっている。そこで捕食性カメムシにおける捕食行動解発因を明らかにして、それを利用した捕食行動制御法開発を可能にすることを目的とし、沖縄などに生息しているハリクチブトカメムシ(Eocanthecona furcellata)のハスモンヨトウ幼虫に対する捕食行動の解明とハスモンヨトウ幼虫抽出物から捕食行動にかかわる化学的解発因と同定を試みる。
成果の内容・特徴
  1. ハリクチブトカメムシ成虫はハスモンヨトウ幼虫に対して定位行動と口吻伸長行動を示した。これらの行動はハスモンヨトウ幼虫抽出物によって引き起こされた。
  2. ハスモンヨトウ幼虫抽出物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて分画したところ、定位行動を引き起こす成分がヘキサン溶出画分に、口吻伸長を引き起こす成分が15%エ一テル/ヘキサン画分に存在し、それぞれ異なる成分であることが示された。
  3. ヘキサン溶出画分から誘引物質としてペンタデカンを、15%エ一テル/ヘキサン画分から口吻伸長活性物質としてE-フィトールを同定した(図1)。
  4. E-フィトールはハスモンヨトウ幼虫の餌に含まれるクロロフィルに由来し、ハスモンヨトウ幼虫の餌中のクロロフィル量がハリクチブトカメムシの捕食行動に顕著な影響を与えることを示した(図2)。
成果の活用面・留意点 [成果の活用面と留意点]
  1. ハリクチブトカメムシなどの捕食性カメムシの誘引や拘束にペンタデカンが利用できる可能性がある。
  2. ハリクチブトカメムシなどの捕食性カメムシの人工飼料の開発において、E-フィトールが摂食刺激剤として利用できる可能性がある。
図表1 227313-1.gif
図表2 227313-2.gif
カテゴリ 害虫 カメムシ

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