アルカロイド医薬物質としての昆虫性フェロモン

タイトル アルカロイド医薬物質としての昆虫性フェロモン
担当機関 蚕糸・昆虫農業技術研究所
研究期間 1996~1996
研究担当者
発行年度 1996
要約 ウスチャコガネ(Phyllopertha diversa)雌成虫の性フェロモンを同定し、化学構造を解析した。その物質は哺乳類に対して消炎・鎮痛作用を示すアルカロイド化合物であった。またフェロモントラップを用いた野外実験では極めて高い捕虫効果が認められた。
背景・ねらい コガネムシ類の幼虫と成虫は、畑作物や果樹に対する重要害虫である。特に土壌中の幼虫に対しては通常の農薬散布による防除効果が低く、大量の農薬散布による環境問題が危惧されている。このため性フェロモンを利用し、交信撹乱による環境に配慮した防除技術の開発を目的とする。
成果の内容・特徴
  1. 野外で採集した約2000匹のウスチャコガネの雌成虫から空気捕集法によって得た成分をエーテル抽出によって分画し、雄成虫に対して誘引性の高い物質を単離した。
  2. 誘引活性物質をガスクロマトグラフ質量分析計とガスクロ直結フーリエ変換赤外吸収分析装置によって化学構造の決定を行い、1,3‐dimethy1-2,4‐(1H,3H)-quinazolinedione[N,N'‐dimeth‐yl-benzoyleneurea]であることをつきとめた(図1)。この物質は哺乳類に対して消炎・鎮痛作用を示すアルカロイド化合物で、自然界からは初めて単離された。
  3. 化学合成した上記アルカロイド化合物のデータを比較したところ、ウスチャコガネ雄成虫に対して誘引性の高い物質のスペクトルと完全に一致し、フェロモン物質であることを確認した。
  4. 合成フェロモンを用いて野外試験を行ったところ、ウスチャコガネに対して極めて高い誘引活性が認められた(図2)。
成果の活用面・留意点 野外実験では、フェロモンを高分子重合体から作出したペレットに含ませたデバイスが、顕著な捕虫効果を示した。
図表1 227318-1.gif
図表2 227318-2.jpg
カテゴリ 病害虫 害虫 性フェロモン 農薬 フェロモン 防除

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