青紫色素を生産する微生物の分離と色素の利用法

タイトル 青紫色素を生産する微生物の分離と色素の利用法
担当機関 蚕糸・昆虫農業技術研究所
研究期間 1996~2000
研究担当者
発行年度 1996
要約 青く汚染した絹糸から細菌Janthinobacterium lividumを分離した。この細菌は多量の青紫色素を生産し、生産された色素はメタノールなどの有機溶媒で容易に描出される。本色素は絹、羊毛などの天然繊維のほか化学繊維も・染色可能であり、色素の濃度と染色時間により、淡い藤色から紺色まで染色することができる。
背景・ねらい 衣料用の染色剤としては、化学技術の進歩に伴って合成色素が主流をなしている。しかし、天然色素も、穏やかな風合いに染まることから依然として人気が高い。現在でも紫系の天然色素は少なく、アクキガイ(悪鬼貝)から採取される貝紫が有名であるが、極めて高価であり、大量生産は困難である。この様な背景のもとで、青紫系の天然色素が求められている。そこで、青紫色に変色した絹糸から色素を生産する微生物を分離し、その利用方法を検討する。
成果の内容・特徴
  1. 青紫色素を生産する細菌を汚染絹糸から分離し、Janthinobacterium lividum(ジャンシノバクテリウム・リビダム)と同定した(図1)。
  2. 菌体から色素の描出を試みたところ、水では抽出されず、メタノールなど極性の高い有機溶媒で抽出された。
  3. 本色素は、絹、羊毛、綿などの天然繊維だけでなく、ナイロン、アセテートなどの化学繊維も染めることができる。天然繊維は青紫色に、ナイロンは濃紺に、アセテートは紫色に染色される(図2)。
  4. 本色素の安全性を、毒性物質に感受性の高いヤママユガの卵巣に由来する細胞を用いて調べたところ、色素は培養細胞に全く影響を与えず、安全性は高いものと推察された。
  5. 本色素は、抗生物質の一種ビオラセイン(violacein)を含む2種類の物質であった。
成果の活用面・留意点 1
青紫色素は細菌の培養によって大量に得られるので、衣服類の染料として広く利用できる。また、ビオラセインには抗菌活性があり、安全性をさらに確認することにより、化粧品や食品等への利用も見込まれる。
図表1 227323-1.jpg
図表2 227323-2.jpg
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