タイトル |
ヒラタケから分雑された非病原細菌によるキノコ腐敗病の防除 |
担当機関 |
蚕糸・昆虫農業技術研究所 |
研究期間 |
1996~2000 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1996 |
要約 |
キノコに多大の被害を与える細菌Pseudomonas tolaasiiは、病原毒素としてトラシンを生産する。今回、罹病ヒラタケから分離された非病原細菌が、トラシンの生産を完全に阻害し、キノコ腐敗病の防除に有効であることを明らかにした。
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背景・ねらい |
日本ではキノコの人工栽培が盛んであり、養蚕農家でも複合経営の一部門としてキノコ栽培を行っているところが多い。しかし、人工栽培の増加に伴って病害の発生も多くなり、産地の崩壊すら懸念されている。ヒラタケ腐敗病の病原細菌Pseudomonas tolaasiiは、ヒラタケだけでなくマッシュルーム、エノキタケ、シイタケにも被害を与える重大細菌であり、防除法の確立が要望されている。そこで、生物防除に使用できる微生物を検索する。
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成果の内容・特徴 |
- 腐敗病に罹病したヒラタケから黄色の非病原細菌(代表菌株S9405、以後S5と略称)を分離した。S5は、P.tolaasiiによるトラシンの生産を完全に阻害する。
- S5の阻害効果は極めて強く、分離菌の混合割合がP.tolaasiiの1/100でも十分に認められた。
- S5はP.tolaasiiの増殖を全く阻害しない。
- S5は生産されたトラシンの活性には影響を与えない。
- トラシン生産の阻害効果は、S5の菌体のみに認められ、培養ろ液には認められなかった。
- S5の菌体を100℃で処理すると、阻害効果は消失した。
- P.tolaasiiを接種する前に、S5の懸濁液をヒラタケに散布したところ、発病は著しく抑制された。
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成果の活用面・留意点 |
分離細菌S5は、P.tolaasiiの増殖を阻害せずに毒素の生産を阻害することから、P.tolaasiiの毒素生産機構を調べる有効な手段として利用できる。また、S5を前もってキノコに散布すると病害の発生が抑制され、生物農薬として利用できる可能性が示唆された。
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図表1 |
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カテゴリ |
病害虫
えのきたけ
カイコ
経営管理
しいたけ
農薬
防除
マッシュルーム
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