タイトル |
サクサンに由来する微胞子虫のカイコに対する感染特性 |
担当機関 |
蚕糸・昆虫農業技術研究所 |
研究期間 |
1996~1999 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1996 |
要約 |
数種の鱗翅目昆虫にサクサン由来の微胞子虫Nosema sp.を経口接種したところ、通常の飼育条件ではカイコへの感染が認められず、その他の鱗翅目昆虫には広く感染が認められることから、害虫防除の新たな素材として利用可能である。
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背景・ねらい |
鱗翅目昆虫に寄生する微胞子虫は、宿主域が広く、経口および経卵感染により伝播するため、害虫防除への利用が期待される。しかし、微胞子虫はカイコに対する病原性が危惧されることから、害虫防除への利用例は世界的にみても極めて少ない。そこで、カイコに病原性が低く、かつ害虫に広く感染し、強い病原性を示す微胞子虫の検索とその利用法について検討する。
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成果の内容・特徴 |
- 13種の鱗翅目昆虫にクローニングしたカイコ由来Nosema bombycisおよびサクサン由来Nosema sp.(胞子:約3.9×1.7μm)を経口接種して感染力を調べたところ、多くの昆虫で感染が認められ、特に両微胞子虫はアワヨトウに高度に感染した。また、Nosema bombycisはマイマイガとモンシロドクガに、Nosema sp.はカイコに感染しなかった(表1)。
- アワヨトウに対するNosema sp.の病原性は、若齢幼虫ほど、または胞子接種量が多いほど強く(表2)、そのため感染幼虫の発育は著しく阻害された。
- Nosema sp.のアワヨトウにおける感染は殆どの組織で認められ、形成された胞子の形態および病原性に変化はみられなかった。
- 多量のNosema sp.胞子を26℃飼育のカイコ孵化幼虫に経口接種しても感染は認められないが、経口接種後の幼虫を30℃の高温で全齢期間を飼育したところ、5齢中期以降の幼虫の皮膚に局部的に胞子の形成が認められる場合があった。しかし、感染母蛾の産下卵にはNosema sp.は全く検出されなかった。
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成果の活用面・留意点 |
Nosema sp.はカイコの高温飼育条件下では一部感染が観察されるので、天敵微生物として害虫防除に用いるためには、病原性の変異等の精査を行う必要がある。
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図表1 |
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図表2 |
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カテゴリ |
病害虫
あわ
カイコ
害虫
防除
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