人工飼料を用いたキボシカミキリの簡易大量飼育技術

タイトル 人工飼料を用いたキボシカミキリの簡易大量飼育技術
担当機関 蚕糸・昆虫農業技術研究所
研究期間 1996~2000
研究担当者
発行年度 1996
要約 キボシカミキリ幼虫の人工飼育において、人工飼料の給餌量が幼虫期間や羽化率に大きく影響した。孵化幼虫を人工飼料が5g入った容器で個体飼育すると、飼料の追加なしに、従来の飼育法より短期間で生育、体重ともそろった成虫となり、本虫の飼育の効率化と大幅な省力化が可能となった。
背景・ねらい 桑やイチジクの難防除害虫であるキボシカミキリの防除技術の開発研究には、生育の均一な虫を大量に確保する必要がある。本虫の既存の大量飼育技術(島根・河上 1991)は、共食いを避けるため小型のシャーレを用いた個体飼育が基本となっており、飼育途中の人工飼料の追加等に多くの労力を要する。そこで、飼育容器のサイズを大きくし、その中に幼虫の成育に十分な量の飼料を入れることで、餌の追加等の手間を省き、飼育の省力化を目指す。そのため、容器に入れる人工飼料の量と虫の生育との関係を調査する。
成果の内容・特徴
  1. キボシカミキリ孵化幼虫1頭を人工飼料(インセクタLF:日本農産工業)を5g加えた市販のアイスクリームカップ(直径70mm、高さ35mm、側面に呼吸用の小穴を数カ所開けたもの)に入れて長日条件下で温度を25℃に保つと、約50日で生育や体重がよくそろった成虫になる。本法は従来法に比べ幼虫期間を約2割短縮でき、飼育中の作業をほとんど要しないため、飼育の効率化と大幅な省力化が可能となった。
  2. 孵化幼虫1頭当たりの人工飼料の給餌量が5gの場合、幼虫期間は平均37日でそろいも非常に良かったが、給餌量の増加に伴い、幼虫期間が長くなり生育も不揃いになった。
  3. 人工飼料の給餌量が5gの場合95%以上の高率で羽化したが、給餌量の増加につれ、幼虫期間の延長や脱皮失敗等で調査期間中に羽化しない個体が増加し、50g給餌区では羽化個体は半数以下となった。
  4. 人工飼料の給餌量が5gの場合、成虫の平均体重は野外の虫の8割程度であったが、給餌量の増加につれ、虫体重も増加する傾向にあった。なお、5g区で得られた成虫は正常に交尾、産卵し、卵の孵化率も高かった。
[具体的データ]
成果の活用面・留意点 本飼育法により、生育が比較的そろったキボシカミキリ成虫を大量に効率よく確保することが可能となったため、カミキリムシ類に対する各種防除素材の開発や生理活性物質の探索等の研究への貢献が期待される。
図表1 227327-1.gif
カテゴリ 病害虫 いちじく 害虫 くり 飼育技術 省力化 防除

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