人工葉を用いたエビガラスズメの屋内採卵法

タイトル 人工葉を用いたエビガラスズメの屋内採卵法
担当機関 蚕糸・昆虫農業技術研究所
研究期間 1994~1998
研究担当者
発行年度 1997
要約 実験昆虫エビガラスズメ成虫の行動観察をもとに、寄主植物であるサツマイモの生葉と同等の産卵刺激を与える人工葉を作出した。本法は本実験昆虫の継代維持に有用であるだけでなく、産卵行動における寄主選択機構の解明にも活用しうる。
背景・ねらい 実験昆虫エビガラスズメ(Agrius convolvuli)は、人工飼料による累代飼育法が確立され、昆虫の代謝、内分泌、神経生理等の研究材料として多くの研究機関で利用されている。しかし、これまで本種の通年飼育には、採卵のために寄主植物であるサツマイモを常時栽培する必要があった。本実験昆虫の安定供給と飼育の省力化のため、簡便な屋内採卵法を確立する。
成果の内容・特徴
  1. 短冊状に切断したサツマイモ生葉100gにエタノール320mlを加え、4℃に約3日間おくと、生葉中の産卵刺激物質が溶液中に抽出される。得られた抽出液は-20℃で一年間保存した後も、産卵刺激活性が失われなかった。
  2. 厚さ1.5cm、直径12.5cmのディスクを本体とする人工葉を設計した。上面には濾紙を重ね、常に生葉抽出液が供給されるようにし、下面には産下卵を回収するためのプラスチック盤を取り付けた。
  3. 交尾雌は飼育箱内の人工葉の前でホバリングし、活発に産卵した(図1-A)。濃度約50mg/mlの生葉描出液を用いると、サツマイモの鉢植えを用いた場合とほぼ同じ産卵数(雌1頭当たり約500卵)が得られ、産下卵の多く(70%以上)は下面のプラスチック盤に回収された(図1-B)。
  4. 人工葉を用いてエビガラスズメの産卵過程を調べたところ、産卵刺激の受容には触角と脚のふ節の両者が関与しており、寄主識別には脚のふ節よりも触角による化学受容がより重要であることが示された。
成果の活用面・留意点 本法はエビガラスズメの系統維持法として利用できるだけでなく、寄主選択など植物化学成分が関与した昆虫の行動制御機構を研究する上でも活用しうる。
図表1 227337-1.jpg
カテゴリ 省力化

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