タイトル |
酵素免疫測定法を用いたエクジステロイドの定量法 |
担当機関 |
蚕糸・昆虫農業技術研究所 |
研究期間 |
1997~2000 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1997 |
要約 |
昆虫ホルモンのエクジステロイドの定量を簡便、かつ、迅速に行うため酵素免疫測定法の開発をした。エクダイソンと西洋ワサビペルオキシダーゼとの複合体をトレーサーとして、標準品に対する検量線から0.1~10ngの範囲で測定できる。
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背景・ねらい |
昆虫の基本的な成育過程である脱皮、変態およびライフサイクルの調節過程として重要な休眠は、昆虫に特有な幼若ホルモンおよび脱皮ホルモン(エクダイソン)等により制御されている。その機構を解明する上で、ホルモン濃度を測定することは必須であり、後者のエクダイソンは主にラジオイムノアッセイ(RIA)で測定されてきた。実験施設に制約のあるラジオアイソトープ(RI)を使わない定量法として、酵素免疫測定法の条件を検討し反応系の最適化を行う。
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成果の内容・特徴 |
- ウサギ抗20-ヒドロキシエクダイソン抗体を用い、エクダイソン・西洋ワサビペルオキシダーゼ複合体をトレーサーとする競合法による反応系を設計した。
- 抗体をマイクロプレートに固定する方法として、直接法とヤギ抗ウサギイムノグロブリンG抗体を用いる間接法を比較した結果、直接法の方がバックグラウンドが低いことを示した(図1)。
- 抗体を固定した後のブロッキング処理では、無処理や1%ウシ血清アルブミン処理に比べ、1%カゼインを用いた場合が最もよい結果を示した(表1)。さらに、トレーサーとの競合反応条件ではウシ血清アルブミン非存在下0.05%Tween20添加の場合が最もよい結果を示した(表1)。さらに、トレーサーとの競合反応条件ではウシ血清アルブミン非存在下0.05%Tween20添加の場合が最もよい結果を示した。
- 本条件で、実際に昆虫体内で主に機能しているエクダイソンと20-ヒドロキシエクダイソンの標準曲線を作成すると、RIAと同程度の測定感度を示した(図2)。
- エクジステロイド生合成活性の異なるカイコ前胸腺を培養し、培養液中の分泌量をRIAと本法で測定するとよい相関が得られた(図3)。また、エビガラスズメ幼虫の終齢脱皮後、成虫になるまでの血液中エクダイソン濃度変化を本法で測定した結果、近縁のタバコスズメガで詳しく調べられている濃度変化によく一致した。
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成果の活用面・留意点 |
- エクジステロイド定量についてRIを用いずに、ラジオイムノアッセイと同程度の感度で測定できる。
- 測定の際に用いられる検量線の範囲がRIAに比べ若干狭いので、抽出量を増やしたり抽出液を希釈し測定することが望ましい。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
カイコ
山羊
わさび
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