タイトル |
ニガウリ葉に含まれる摂食阻害物質の同定と鱗翅目昆虫の摂食阻害 |
担当機関 |
蚕糸・昆虫農業技術研究所 |
研究期間 |
1997~1998 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1997 |
要約 |
ニガウリ葉より、広食性のハスモンヨトウと、より狭食性のアワヨトウに摂食阻害作用を示す、モモルディシンⅡおよび新規配糖体物質を単離、同定した。広食性昆虫に比べて狭食性昆虫での阻害度が高く、この差は両者の食性に関連すると考えられる。
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背景・ねらい |
植物は様々な環境下で生存していくのに、生体中で種々の生理活性物質を生成、蓄積し、自己防衛等に利用している。その中でも特に昆虫に対し、防衛的に機能していると考えられる物質について、その構造と機能特性を明らかにすることを目的に、ニガウリ葉から、広食性のハスモンヨトウに摂食阻害活性を示す成分を単離、構造決定するとともに、より食性の狭いアワヨトウがニガウリ葉に示す摂食反応と比較検討する。
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成果の内容・特徴 |
- 3種のウリ科植物ニガウリ、キュウリおよびカボチャの葉について、ハスモンヨトウおよびアワヨトウ(高密度飼育)3齢幼虫に対する二者択一の選択摂食試験を行ったところ、両者ともニガウリ葉の摂食量が顕著に少なく、特にアワヨトウ幼虫はニガウリ葉を全く摂食しなかった(図1)。
- 摂食阻害活性をもつニガウリ葉のメタノール抽出物より、アワヨトウに対する阻害活性を指標に分画し、摂食阻害主成分のモモルディシンⅡおよび化合物1を単離した(図2)。
- 各種分光機器を用いて化学構造を解析したところ、化合物1はモモルディシンⅡにもう1つ糖がついた新規のトリテルペン配糖体であった(図3)。
- ハスモンヨトウおよぴアワヨトウ幼虫の、モモルディシンⅡに対する摂食試験では、広食性のハスモンヨトウに対する摂食阻害度がかなり低く、これは両者の食性の違いに関連しているものと推察される(図4)。化合物1の摂食阻害度は、アワヨトウ幼虫でも0.5%濃度で22%とそれほど高いものではなかった。
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成果の活用面・留意点 |
今回単離した鱗翅目昆虫2種に対する摂食阻害物質の構造を元に、化学構造の改変などでさらに活性の強い物質を作出することにより、これら害虫の摂食行動の制御に利用できる可能性がある。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
あわ
害虫
かぼちゃ
きゅうり
にがうり
もも
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