タイトル |
核多角体病ウイルスゲノムDNAによるカイコ幼虫への接種法 |
担当機関 |
蚕糸・昆虫農業技術研究所 |
研究期間 |
1998~1998 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1998 |
要約 |
カイコ核多角体病ウイルス(BmNPV)のゲノムDNAをカチオン性脂質と混合してカイコ5齢幼虫に注射することによって効果的に発病させることができ、ウイルス汚染の発生しない安全な接種が可能である。
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背景・ねらい |
組換えBmNPVを利用して生産される遺伝子組換え産物は一般に生理活性が高いのが特徴であり、組換えウイルスに感染したカイコ5齢幼虫の大量飼育によって、このような遺伝子組換え産物生産の大規模化が見込まれる。しかし、作業環境のウイルス汚染防止や組換えウイルス増殖法の低コスト化など、解決すべき課題が多い。そこでBmNPVゲノムDNAを5齢起蚕に直接経皮接種した場合の感染効率について検討し、汚染回避手法の確立を図る。
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成果の内容・特徴 |
- BmNPVゲノムDNAをカチオン性脂質と混合し5齢起蚕に経皮接種したところ、通常の感染蚕と同様、100%の幼虫が典型的な節高病徴を呈して死亡し、体液からは多角体が検出された(表1)。
- BmNPVゲノムDNA単独の経皮及び経口投与並びにカチオン性脂質と混合したBmNPVゲノムDNAの経口投与を行ったが、カイコ幼虫は発病しなかった。このことから、カチオン性脂質と混合したBmNPVゲノムDNAは経皮接種の場合にのみ核多角体病を発病させることが判明し、カイコに対する組換えウイルス接種時の汚染回避方法として利用できることが明らかになった(表1、2)。
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成果の活用面・留意点 |
本法は外来DNAが昆虫体細胞の核内に到達することを示唆しており、トランスジェニック昆虫の作出への応用が期待される。
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図表1 |
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図表2 |
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カテゴリ |
カイコ
大規模化
低コスト
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