タイトル |
味覚物質の刺激を可視化するリポソーム |
担当機関 |
蚕糸・昆虫農業技術研究所 |
研究期間 |
1999~1999 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1999 |
要約 |
センチニクバエの唇弁組織抽出液と膜電位感受性蛍光色素を含むリポソームは、塩や糖の味覚物質で刺激することにより蛍光強度が大きく変化し、味覚物質による刺激応答を可視化できた。
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背景・ねらい |
優れたセンサーは、次世代の先端科学・産業を支える一つの重要な要素技術である。一方、昆虫の感覚器は微小で単純ながら優れた識別機能を有する等から、センサー構築技術の有用な手本となる。そこで、昆虫感覚器を模倣・利用したバイオセンサーシステム構築技術の開発を目的に検討を進めた。バイオセンサーシステム構築の中で重要な要素として信号を可視化するための技術の開発がある。昆虫味覚組織抽出液とリポソームを利用した系による味覚物質による刺激応答の可視化技術の開発を試みた。
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成果の内容・特徴 |
- センチニクバエの唇弁組織抽出液と膜電位感受性色素(Di-8-ANEPPS)を含んだリポソームを透析法により調製した。
- 上記リポソームは、NaCl溶液の刺激に対して、大きな蛍光強度変化という応答を示すが、抽出液を含まないリポソームは、応答しない(図1)。
- 相対的な蛍光強度変化は、NaCl濃度に依存する(図2)。
- 上記リポソームは、Li+,K+には応答を示さない。
- 上記リポソームは、Na+イオンチャネルに特異的な阻害物質であるテトロドトキシンでその応答が阻害される(図3)。
- 上記リポソームは、グルコースやショ糖に応答したがガラクトースには応答しない。
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成果の活用面・留意点 |
今回開発した技術は、昆虫機能を利用・模倣したバイオセンサーシステム用のトランスデューサーとして利用でき、新しいタイプのバイオセンサーシステムの開発に活用できる。リポソーム調製法等の検討による最適化や、リポソーム固定化法等のシステム開発により、高感度で経済的なバイオセンサーの開発が期待できる。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
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