培養細胞を用いたウォルバキアの培養

タイトル 培養細胞を用いたウォルバキアの培養
担当機関 蚕糸・昆虫農業技術研究所
研究期間 2000~2000
研究担当者 野田博明
発行年度 2000
要約 節足動物の性や生殖に変化を引き起こす細菌である、ウォルバキアWolbachiaの培養に成功した。培養細胞株にウォルバキアを接種することにより、継代培養が可能となった。
背景・ねらい 節足動物に広く感染している細菌の一種ウォルバキアWolbachiaは、宿主生物に細胞質不和合性(卵が発育しなくなる現象)、産雌単為生殖(雄が出現せず雌だけの集団となる現象)、雌性化(雄を雌にしてしまう現象)、雄殺し(雄だけが死んでしまう現象)などの性や生殖に係わる特異な現象を引き起こす。この細菌の機能研究は、基礎的にも応用的にも重要な課題である。しかし、このような細胞内共生微生物は、培養が困難なものが多い。そこで、培養細胞を利用して、ウォルバキアを培養する。
成果の内容・特徴
  1. 蚊から樹立された培養細胞NIAS-AeAl-2(RCB0277)を、IPL-41(Gibco BRL 11405)培地で培養した。ウォルバキアに感染したヒメトビウンカLaodelphax striatellusの卵巣を解剖して、その一部をこの培養細胞に加えて、28℃で継代維持した。
  2. ウォルバキアを接種した細胞では、非接種の細胞と比べて、細胞の外観に変化が認められた(図1)。ギムザ染色により細胞内に細菌が観察でき、PCRでもウォルバキアの存在が確かめられた。電子顕微鏡観察でも、多くの微生物が培養細胞の細胞質に認められた(図2)。ABI7700塩基配列検出装置を用いて、定量PCRを行うことにより、ウォルバキアが増殖していることを確認した。
  3. 蛾の培養細胞BCIRL-HZ-AM1でも、ウォルバキアの感染が確認でき、また、哺乳類の細胞L929(マウス由来)でもウォルバキアを維持できた。また、ショウジョウバエDrosophila simulansのウォルバキアも培養に成功している。
成果の活用面・留意点
  1. この培養されたウォルバキアを、今後タンパク質や遺伝子の研究に利用できる。
  2. ウォルバキアを他の節足動物に接種する際の接種源として利用できる。
図表1 227400-1.png
図表2 227400-2.png
カテゴリ ヒメトビウンカ

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