バイオ材料へ応用できるポリエチレングリコール修飾絹フィブロイン

タイトル バイオ材料へ応用できるポリエチレングリコール修飾絹フィブロイン
担当機関 蚕糸・昆虫農業技術研究所
研究期間 1996~1999
研究担当者 玉田 靖
後藤(馬場)洋子
塚田益裕
箕浦憲彦(物質研)
発行年度 2000
要約 抗血栓性で細胞の付着を抑制する作用を持つバイオ材料として、ポリエチレングリコール修飾絹フィブロインを作出した。また、その高次構造として、絹フィブロイン層とポリエチレングリコール富化層に相分離し、二層が交互に重なった積層構造を推定した。
背景・ねらい 絹フィブロイン(SF)は線維芽細胞の高い付着・増殖性を示すことから、体内埋め込み材や人工皮膚への応用が期待されている。その一方で、癒着防止膜のように生体のタンパク質や細胞の付着が抑制された素材の開発も望まれている。そこで、生体不活性な高分子ポリエチレングリコール(PEG)類によりSFを化学修飾し、タンパク質や細胞の付着が起こらないSF素材を作出することをねらいとした。
成果の内容・特徴
  1. PEGを導入したSFの細胞培養床で線維芽細胞の培養をしたところ、細胞の初期付着性と増殖性は非常に低かった(図1)。またPEG修飾SFフィルム表面への血小板付着量も、ポリスチレン、ガラス、さらにSFよりはるかに少なく(図2)、抗血栓性があることが示された。
  2. PEG修飾SFのSF分子は逆平行βシート構造をとるものの、嵩高いPEG分子の導入によってSFの近接分子鎖間のパッキングが乱れていることがわかった。またPEGとSFは相分離し、PEG分子がSF層の上下に伸びてPEG富化層を形成している積層構造(図3)をPEG修飾SFの高次構造として推定した。
  3. PEG修飾SFの細胞付着抑制作用及び抗血栓性は、相分離構造に由来すると考えられる。
成果の活用面・留意点
    PEG修飾SFは細胞の付着を抑制する作用を持つとともに抗血栓性を示すことが明らかにされたので、バイオマテリアルとして抗血栓性材料や臓器癒着防止膜へ応用できる。
図表1 227402-1.png
図表2 227402-2.png
図表3 227402-3.png
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