温暖地向き密植機械収穫用品種、桑農林20号「なつのぼり」

タイトル 温暖地向き密植機械収穫用品種、桑農林20号「なつのぼり」
担当機関 蚕糸・昆虫農業技術研究所
研究期間 2000~2001
研究担当者 横山忠治(元蚕昆研)
原島典雄(元蚕昆研)
山ノ内宏昭
小山朗夫
松島幹夫(元蚕昆研)
町井博明
長沼計作(元蚕昆研)
尾暮正義(元蚕昆研)
片桐幸逸(元蚕昆研)
木内美江子(元蚕昆研)
発行年度 2000
要約 桑農林20号「なつのぼり」は、「一ノ瀬」に育成系統「No.3001」を交雑して育成された。枝条の先枯れが少なく、直立性で条径も細く、伐採後の再生長が旺盛であることから、温暖地における密植栽培による機械収穫に適する。
背景・ねらい 養蚕経営の低コスト化を実現するためには、労力及び経費の削減、多回育化などに対応する新たな桑栽培技術の構築が必要である。このため、密植機械収穫適性を備えた桑品種の育成が求められ、温暖地向きとしては既に「たちみどり」が命名登録されている。しかし、枝条が太い、伐採後の再生長が劣るなどの点で、必ずしも欠点のない品種とは言い難かった。そこで、さらに優れた機械収穫適応性を有する温暖地向き桑品種の育成を図った。
成果の内容・特徴
  1. 桑農林20号「なつのぼり」は、「一ノ瀬」と「清国野桑」及び「司桑」の交雑に由来する系統「No.3001」を交雑親とし、系統適応性密植検定試験及び特性検定試験(耐萎縮病性)を経て育成された品種であり、平成12年に農林水産省育成農作物新品種命名登録審査会における審査を経て公表された。
  2. 「なつのぼり」は先枯れが少なく、春の発芽は「しんいちのせ」より1 ~ 2 日程度遅いが、新梢の生育は大差ない。夏切後の枝条数は「しんいちのせ」よりやや多く、枝条長もやや優れる。節間長はやや短い(表1)。夏蚕期中間伐採後の再発芽性は良好で、壮蚕用桑として夏切・春切のいずれの収穫法にも適する。
  3. 枝条の展開幅は「しんいちのせ」より狭く、直立性である。条径はやや細い(表2)。
  4. 夏秋期の葉はやや大型の4 裂葉が中心である。晩秋期における葉の硬化は遅い。
  5. 萎縮病抵抗性は中程度である。縮葉細菌病には強く、裏うどんこ病に対してもやや強い。
  6. 収量は夏切・春切とも「しんいちのせ」と同等かやや多い(表3)。
  7. 春先の枝条の先枯れが少なく、枝条伸長が旺盛なため、関東地方をはじめとする温暖地においても、小型条桑刈取機による春蚕期及び初秋蚕期の年2回基部伐採を毎年繰り返す収穫体系にも対応可能で、機械収穫適応性も高い。
成果の活用面・留意点
    本品種は関東地方の平坦地及び中山間地をはじめとする広い地域に適応する。春蚕期の新梢中の正葉割合がやや低いことから、蚕飼育にあたっては、給桑量不足にならないよう留意する。また、挿木発根性が劣るため、接木法による増殖が推奨される。
図表1 227407-1.png
図表2 227407-2.png
図表3 227407-3.png
カテゴリ 萎縮病 うどんこ病 カイコ 経営管理 栽培技術 新品種 中山間地域 抵抗性 低コスト 品種

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