観賞用クワ品種「枝垂桑」の遺伝解析と形質改良

タイトル 観賞用クワ品種「枝垂桑」の遺伝解析と形質改良
担当機関 蚕糸・昆虫農業技術研究所
研究期間 2000~2002
研究担当者 山ノ内宏昭
発行年度 2000
要約 クワ品種「枝垂桑」の枝垂れる形質は劣性遺伝子(shidare-1)に支配されている。「枝垂桑」と他品種との交雑により、葉が黄色で枝垂れる観賞用として優れた系統と、挿木発根性が高く雄性で早期開花性の枝垂れる系統が作出できる。
背景・ねらい クワ遺伝資源には様々な特異形質を持つ品種が存在し、それらの多くは観賞価値の高い形質を有し、一部のものについては街路樹や盆栽等の観賞植物として利用されている。これらの特異形質ついて遺伝学的な性質を明らかにすることにより、交雑育種による観賞用クワ品種の改良が可能であると考えられる。「枝垂桑」は枝が垂れる形質を持ち、世界的に街路樹等に利用されているが、挿し木発根性が非常に悪く、雌性で交雑範囲が限られるなどの欠点を持っていた。
成果の内容・特徴
  1. 「枝垂桑」の枝が垂れる特異形質は劣性の遺伝子(shidare-1)に支配されている(表1)。
  2. 「枝垂桑」と挿し木発根性の非常に優れた品種「Noi」(表2)との交雑によって得られたF2 個体から、挿し木発根性の優れた枝垂桑型の系統が多数得られた(表3)。
  3. 「枝垂桑」と葉が黄色の品種「黄葉十文字」との交雑によって得られたBC1 個体から葉が黄色で枝垂桑型の鑑賞価値の高い系統が得られた(図1)。
  4. 「枝垂桑」と「Noi」とのF2 個体から雄性の枝垂桑型系統が得られた(表1)。この個体は播種後1 年以内に開花し、クワとしては非常に早期開花性であった。

成果の活用面・留意点
     「枝垂桑」の枝が垂れる形質の遺伝的性質が明らかになり、さらに、雄性の早期開花性の系統が得られたことにより、枝垂桑型の形質を持った観賞用クワ品種の計画的な育成・改良が可能になった。
     また、高い挿し木発根性という優良形質、または、葉が黄色いという新たな鑑賞価値を導入した枝垂れる系統を作出できたことで、これらを母本としてより性質の優れた鑑賞用クワ品種を育成する可能性が開けた。
図表1 227409-1.png
図表2 227409-2.png
図表3 227409-3.png
カテゴリ 育種 遺伝資源 挿し木 播種 品種

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