タイトル |
耐寒性緑茶用新品種候補‘埼玉33号’ |
担当機関 |
埼玉県茶業試験場 |
研究期間 |
1996~1996 |
研究担当者 |
岡野信雄
淵之上康元
北田嘉一
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発行年度 |
1996 |
要約 |
耐寒性に優れた緑茶用新品種命名登録候補系統‘埼玉33号’を育成した。本系統は摘採期が‘やぶきた’より2~6日遅い中晩生である。一・二番茶とも‘やぶきた’より多収である。製品の色沢は濃緑で細くよれ、すっきり爽やかな香気、濃厚な水色・旨味があるので、し好の多様化と栽培の安定化に貢献できる。1
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キーワード |
耐寒性、埼玉33号、多収、多様化1
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背景・ねらい |
耐寒性に優れた高品質・多収な緑茶用品種を育成する。
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成果の内容・特徴 |
- 育成経過
昭和42年に‘やぶきた’を種子親、‘27F1-73’(さやまみどり×硬枝紅心実 生)を花粉親とした交配によって得られた実生群中から選抜した。平成2年から平成8 年までの7年間、特性検定試験及び系統適応性検定試験に供試した。
- 特性の概要
1)一番茶の摘採期は、‘やぶきた’に比較して寒冷地では2~3日、温暖地及び暖地では3~6日遅い中晩生である(表1、表3、表4)。 2)耐寒性は青枯れ及び裂傷型凍害に抵抗性を示す(表1)。 3)樹勢は強く樹姿は開張性である(表1)。 4)一番茶の摘採期における茶芽の状態は、芽立ち及び生育は良好であり、幼葉は軟らかく光沢ある緑色である。 5)一番茶の収量構成要素では、‘やぶきた’と比較して芽数の多い芽数型である。 6)一・二番茶とも‘やぶきた’より多収である。また、製品の色沢は濃緑であり、細くよれ、すっきり爽やかな香気、濃厚な水色・旨味がある(表2、表3)。 7)系統適応性検定試験の結果、3年間の平均収量は対‘やぶきた’比112%である。一方、製茶品質は‘やぶきた’と同等の評価で良好である(表4)。
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成果の活用面・留意点 |
- 耐寒性(特に青枯れ)に優れ、摘採期は‘やぶきた’より2日遅く、多収であり、しかも製茶品質においては、高い評価を得ているところから、寒害(青枯れ)や裂傷型凍害の発生の多い茶産地にも適する。
- もち病の特性検定の結果、‘やぶきた’並みの‘やや弱’であるので、本病の多発地帯への導入には注意が必要である。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
新品種
耐寒性
茶
抵抗性
凍害
品種
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