タイトル |
ダイコン、サトイモを加害する複数の線虫を同時に制御する作付体系 |
担当機関 |
有機物 |
研究期間 |
1997~1999 |
研究担当者 |
山田 盾
中川 泉
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発行年度 |
1997 |
要約 |
ダイコンにはキタネグサレセンチュウ、サトイモにはミナミネグサレセンチュウ、サツマイモネコブセンチュウが加害する。これに対し、牛糞堆肥などの有機物の効果は小さいが、両作物を組み込んだ輪作で3種の線虫加害を制御できる。また、エダマメのような3番目の作物が組み込こまれることでさらに安定した作付体系となる。サツマイモネコブセンチュウ、有機物、輪作、エダマメ、作付体系
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キーワード |
ダイコン、キタネグサレセンチュウ、サトイモ、ミナミネグサレセンチュウ、サツマイモネコブセンチュウ、有機物、輪作、エダマメ、作付体系
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背景・ねらい |
近年、野菜生産の比重が大きくなって、連作条件あるいは高頻度に同じ野菜が作付られることが多くなり、連作障害が大きな問題となっている。ダイコンではキタネグサレセンチュウによる肌の汚れ、サトイモではミナミネグサレセンチュウによる生育・収量の低下など線虫を原因とする問題が発生している。そこで、従来の殺線虫剤、マリーゴールドなどの対抗植物の導入などに代わり得る、経営に取り込みやすく、環境保全的な作付体系を開発しようとした。
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成果の内容・特徴 |
サトイモ、エダマメ、ダイコンの輪作はこれらを加害する3種の線虫を同時に抑制する。
- 長期のサトイモ連作でサツマイモネコブセンチュウのみならず、ネグサレセンチュウが増加し、春ダイコン(+秋ハクサイ)あるいはエダマメの連作にもネグサレセンチュウが増加する(表1)。
- 上記3作物の輪作(正確には秋ハクサイを含む4作物であるが、その作期が異なるので影響は小さい)によりサツマイモネコブセンチュウは不検出となり、輪作による防除効果は極めて高い。なお、有機物施用などの耕種法による被害軽減効果は十分ではない(表1、図1、図2)。
- ネグサレセンチュウについては、組合わせ全作物で増加が認められる。しかし、サトイモ連作でミナミネグサレセンチュウの存在が確認されていること、輪作でネグサレセンチュウが顕著に減少し、被害がほとんど無くなることから、主として、ダイコンにはキタネグサレ、サトイモにはミナミネグサレセンチュウが加害し、これらの作物を組み合わせた輪作の効果が高いものと思われる(表1、図1、図2)。
- 主に検討した春ダイコン(+秋ハクサイ)→サトイモ→エダマメ輪作では、ダイコン+ハクサイで増殖したキタネグサレセンチュウの影響で、収量への影響は小さいが、サトイモの生育初期に根腐れや生育低下が生じる場合がある。従って、サトイモ→ダイコンの順に輪作をする方が良いと考えられ、この順でもダイコンに問題が無いことが確認されている(図3、図1)。
- ネグサレセンチュウの防除からはダイコン、サトイモの2年輪作も有効と考えられるが、上記4のサトイモの被害およびサツマイモネコブセンチュウ制御を考慮するとエダマメを組み入れた作付体系がより安定で、3種の有害線虫を同時に制御できる。
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成果の活用面・留意点 |
- ミナミネグサレセンチュウは比較的高温域で増加するので、これの被害を生じない地域も多いと思われるが、その場合でもダイコンの線虫対策として有効な作付体系である。
- キタネグサレセンチュウの密度を低下させる作物がサトイモであることを基本に、エダマメを、ササゲ、イネ科作物の一部などで代替するなどの応用が可能である。
- この輪作はキタネグサレセンチュウ密度低減の効果があるので、秋ダイコンの線虫被害回避に対しても有効と思われる。一方、秋ハクサイ作付の影響は不明であるが、対抗植物では無いので、これが、線虫制御に果たす役割は小さいと考えられる。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
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