タイトル |
機械収穫向き加工用トマト新品種候補‘なつのしゅん’ |
担当機関 |
長野県中信農業試験場 |
研究期間 |
1999~1999 |
研究担当者 |
岡本 潔
元木 悟
矢ノ口幸夫
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発行年度 |
1999 |
要約 |
〔要約〕加工用トマト‘なつのしゅん’は、コンパクトな草姿で、ジョイントレス果柄を有し、機械収穫または手どりによる2~3回収穫に適する多収性品種である。また、色素遺伝子(og)を保有し、リコピン含量が高く、果汁の色調が優れるジュース加工向き品種である。
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キーワード |
加工用トマト‘なつのしゅん’、ジョイントレス果柄、機械収穫、多収性、リコピン含量、色調長野県中信農業試験場・畑作育種部・野菜育種指定試験地
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背景・ねらい |
我が国の加工用トマト栽培においては、収穫コストの低減と収穫の軽作業化が重要な課題である。その対策の一つとして機械収穫が検討され、実用的な半自動型収穫機が開発された。そこで、機械収穫に適した同熟性、圃場貯蔵性、草姿のコクパクト性(開張度130㎝程度)を有する多収性品種を育成する。なお、機械収穫適性は、株切り後手振るいで一挙収穫する1回収穫と、手振るい収穫の前に1回手どり収穫する2回収穫で検討した。
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成果の内容・特徴 |
- 加工用トマト‘なつのしゅん’は次の2系統の単交雑により育成された一代雑種である(図1)。種子親は、機械収穫適性の高いF1品種‘NDM051’(日本デルモンテ㈱育成)と野菜・茶業試験場盛岡支場(現野菜・茶業試験場(盛岡))の大果系統‘93PLF3’との交雑後代から選抜したF5系統‘PLS6-3-3-2-1’を用いた。花粉親は、野菜・茶業試験場(盛岡)の育成系統‘盛岡20号’(‘MTP-20’(とまと農林交親27号))である。
平成9~11年度に特性検定試験及び系統適応性検定試験を実施した結果、機械収穫用の実用品種として有望であると判定されたため、命名登録を行った。
- 草姿は心止まり型で無支柱栽培に適し、開張度(側枝の拡がり)は130㎝内外のコンパクトである。開花日数は56日内外でやや早生で、熟期は‘NDM051’や‘カゴメ932’よりやや遅い(表1)。
- 収量は、機械収穫を想定した1回あるいは2回収穫で、‘NDM051’や‘カゴメ932’より多収性を示す(表2)。また、手どり収穫(3~4回収穫)でも実用品種より腐敗果の発生が少なく、多収性を示す(データ省略)。
- 収穫適性は、‘NDM051’や‘カゴメ932’より果実が大きく、へた痕の大きさがやや大きいためへた付き果の割合がやや多いが、収穫・調製作業がしやすく、コンパクトな草姿でジョイントレス果柄を有し、機械収穫に適する。
- 果実は75g程度の球形で、‘NDM051’より軟らかいが‘カゴメ932’より堅く、圃場貯蔵性に優れる。果汁の品質は糖度と酸度がやや低いが、色素遺伝子(og)を保有し、リコピン含量が高く、色調が優れ、ジュース加工適性は良い(表3)。
- 萎ちょう病(レース1)及び半身萎ちょう病に対して抵抗性を有する。
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成果の活用面・留意点 |
- ジュース加工用原料として、露地無支柱栽培に適し、機械収穫あるいは手どりによる2~3回収穫方式に適する。適応地域は北海道、東北、関東、中部地方である。
- へた離れ性がやや悪いので、株切り後2~3時間程度おいて萎れさせてから、収穫すると良い。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
育種
加工
加工適性
コスト
収穫機
新品種
多収性
茶
抵抗性
トマト
品種
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