サヤインゲンの花粉稔性による耐暑性検定

タイトル サヤインゲンの花粉稔性による耐暑性検定
担当機関 国際農林水産業研究センター
研究期間 1999~2000
研究担当者 鈴木克己
江川宜伸
竹田博之
塚口直史(生研機構)
発行年度 1999
要約 サヤインゲンの花粉稔性は開花約10日前の高温ストレスにより低下する。花粉稔性と着莢率の間には高い正の有意な相関関係(r=0.98)が認められる。開花約10日前の高温感受性を花粉稔性により検定することでサヤインゲンの耐暑性を評価できる。
キーワード サヤインゲン、花粉稔性、高温ストレス、耐暑性
背景・ねらい 作物の高温障害は、生殖生長期に顕著に現れる。夏期の高温下で栽培したサヤインゲンで、耐暑性が劣る品種では若莢収量が著しく減少するが、耐暑性品種では収量の減少が少ない。サヤインゲンでは、開花期と開花約10日前の高温により着莢率が低下することが知られている。本研究は、開花10日前の高温が花粉稔性に影響を与えるか、また、花粉稔性の調査により耐暑性の検定が可能かどうかを検討する。
成果の内容・特徴
  1. 花粉稔性は、開花前日の花蕾をエタノール酢酸(3:1)溶液で固定した後、花粉を取り出しアセトカーミンで染色し、染色した花粉数/全花粉数の割合で示す。
  2. ガラス温室(25±2℃)で育てたサヤインゲン(品種:‘ケンタッキーワンダー’)を人工気象器内に移し、1日高温処理(32℃/28℃)を行い温室(25℃±2℃)に戻した場合、花粉稔性は処理後約8~11日目に低下する(図1)。つまり開花約10日前(花粉四分子期頃)の高温は花粉稔性を低下させる。
  3. 開花10日前に高温処理し適温下に戻し、開花時に花粉稔性を調査した花に印をつけ、着莢率(同じ花粉稔性を示した花の総数に対する着莢した莢の割合)を調査した結果、花粉稔性と着莢率の間には高い正の有意な相関(r=0.98、0.1%水準で有意)がみられる(図2)。
  4. 人工気象器での実験と同様に、石垣島のほ場条件下で栽培したサヤインゲンでは、花粉稔性は開花約10日前の気温の影響を受けている(図3)。
  5. 耐暑性品種‘ハイブシ’および耐暑性として選抜した系統‘石垣2号’は、他の耐暑性が劣る品種に比べて高温条件下でも高い花粉稔性を示す(図3、4)。
  6. 開花期の高温は着莢率を低下させるが、花粉稔性は低下させない(図1)。着莢率低下は葯の非裂開、柱頭の伸長によると思われる。
成果の活用面・留意点
  1. 花粉稔性の調査には保存した花を使用できる。花粉稔性は開花約10日前の高温に対する耐性のみを表す。それに対し着莢率での検定は、開花当日・開花約10日前両方の高温に対する耐性を複合的に表すため、開花当日の耐暑性は別に検定する必要がある。
図表1 227628-1.gif
図表2 227628-2.gif
図表3 227628-3.gif
図表4 227628-4.gif
カテゴリ 高温対策 さやいんげん 耐暑性 品種

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