埼玉県北部の希少野生生物生息保全と農業用水取水施設の関連

タイトル 埼玉県北部の希少野生生物生息保全と農業用水取水施設の関連
研究期間 2000~2002
研究担当者 江村 薫
発行年度 2002
要約 埼玉県北部の櫛挽・妻沼地域での主要な農業用水路は利根川、並びに荒川からの取水し、 その取水口付近では、絶滅危倶種(埼玉県カテゴリー1類A・全国ではH類)のミヤマシジミ(昆虫綱、チョウ目)が生息する。県内では、現在はこの2箇所の河川敷のみが生息確認地域であり、農業用水路取水口付近の環境対策が保全の観点から重要である。
背景・ねらい 農業水利施設の整備に当たって必要とされる、生態系保全を前提とした環境管理計画策定手法の開発が求められている。ここでは、約400年前に建設され、上水路が多く残るとともに埼玉県の代表的な水路である備前渠用水路を中心に、埼玉県北部の櫛挽・妻沼地域を対象として農業用水路と希少野生生物の関連、特に水辺及びその周辺環境の野生生物の保護や保全のあり方について、実態を調査し検討する。
成果の内容・特徴
  1. 櫛挽・妻沼地域の灌概用水は利根川からの備前渠用水と、荒川の大堰での取水であり、両取
    水口下流域でのミヤマシジミ(昆虫綱、チョウ目)の生息を確認した(図1・表1)。

  2. 本種は、埼玉県内の現在の発生地域は、この両地域のみとされている(図2)。

  3. 本種は、埼玉県カテゴリー絶滅危倶I類「現在の状態をもたらした圧迫要因引き続き作用する場合、野生での存続が困難なもの」に位置づけられている。

  4. 両農業用水路の取水口の地理的条件は、利根川、荒川両河川とも流路が湾曲して氾濫を繰り返す地域の上流部に設置されており、その下流域に形成された河川敷が本種の生息場所となっている。

  5. 本種は寄主植物であるコマツナギ(図3)に依存しており、その生育の場所は河川敷では氾
    濫性の強い草原である。

  6. 以上のことから、河川敷内で適度な氾濫を繰り返す取水口の維持管理は、下流域の草原性昆虫類の生息場所の提供施設として重要である。

成果の活用面・留意点 環境に配慮した農業用水路の維持管理や改修において、参考資料として活用する。

カテゴリ 環境対策 こまつな 水管理

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