タイトル |
不耕起直播による傾斜化水田の勾配維持 |
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研究期間 |
2001~2003 |
研究担当者 |
横井久善
榊原正典
釋一郎
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発行年度 |
2002 |
要約 |
1/500のほ場勾配と水尻辺の明渠排水を施工した傾斜化水田は、水稲の不耕起直播栽培および麦・大豆の不耕起栽培による2年3作(大豆→麦→水稲)の輪作体系を組むと、当初施工したほ場勾配を崩すことなく排水性が改善され、安定収量を得る。
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背景・ねらい |
水田における麦・大豆の本件化において、ほ場の汎用化は必要施策である。このため、 傾斜化水田の導入によりほ場の排水性の改善を行うと共に、水稲の不耕起V溝直播栽培 (愛知式不耕起直播栽培)および麦・大豆の不耕起V溝播種栽培を組み合わせて、当初施 工したほ場勾配を維持する輪作体系を確立する。
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成果の内容・特徴 |
- 試験用として施工した傾斜化水田(3,200m2)のほ場勾配は、1/500(A区)と1/350(B区)の屋根型勾配で、約10cmの高低差がある。水尻排水は、A区に口径200mm、B区に口径150mmのヒューム管を各1カ所設置し、水尻辺には明渠(幅20cm、深さ15cm)を施工してある。ほ場勾配と明渠排水施工によりほ場の表面浅水は降雨後1日で消え、1/500勾配で十分な排水性を確保できる。
- 水稲の不耕起V溝直播栽培と麦・大豆の不耕起V溝播種栽培により、当初施工したほ場勾配は2年3件後においても崩すことなく維持できる(図1)。トラクター(75pS級)に
よる機械作業は小さな凸凹を発生させるが、水稲収穫後の簡易整地(2hr/32a:浅耕鎮 圧)により、補修される。
- 傾斜化水田における湛水状態からの落本は、水平水田と比較して1/2以下の時間短縮となる(図2)。
- ほ場整備の造成において、ほ場勾配をつけるための施工費の増加分は3000円/10a程度である(表1)。
- 栽培体系は、2年3作(大豆→麦→水稲)のローテーションが可能になる。傾斜化水田の大豆と小麦は、県下の平均収量を上回る高収量で、水稲も安定収量を得る(表2)。
- 以上より、傾斜化水田のほ場勾配は、水稲栽培上の湛水深の許容幅が10cmであること
から、給水から排水路までの距離を50mで計画する近年のほ場整備の区画形状に対して 1/500の片勾配で造成する。
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成果の活用面・留意点 |
- 傾斜化水田の造成は、表土整地の作業工程でほ場勾配をつけると表土厚さが一定にな
らずに”地力むら”を生じるので、基盤造成の作業工程でほ場勾配をつけることが大切 である。
- 水尻辺の明渠排水施工は必要である。
- 傾斜化水田は、ほ場勾配維持のためには作付けする作物の栽培方法をすべて不耕起栽培で行うことが前提である。
- 減水深の大きい水田では、湛水保持が困難であるので適用できない。
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カテゴリ |
栽培体系
直播栽培
水田
水稲
大豆
排水性
播種
不耕起栽培
輪作体系
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