38.カルマンフィルタを導入した排水路系の流況予測

タイトル 38.カルマンフィルタを導入した排水路系の流況予測
研究期間 2001~2003
研究担当者 丹治 肇
中矢哲郎
木強治
発行年度 2003
要約  排水施設の集中管理化に向けて、排水システム内の流れの状態を迅速に把握できるモデルである。本手法は、カルマンフィルタ※を導入することにより、観測値を入力することで、排水路系の流況が予測でき、精度が向上する。
背景・ねらい  地盤標高の低い農地では、排水不良、洪水・高潮により農地の湛水や排水施設が破損する危険性が高い。このため、排水シミュレーションによる広域排水計画が立てられ、各地で排水施設が整備されてきた。しかし、近年、農地の宅地化により、降雨の流出特性が変化したため、周辺の宅地を含めた農地の排水管理の見直しが必要性とされている。
しかしながら、従来の排水シミュレーションでは、実測値と解析結果の比較により最適なパラメータを採用していたが、時々刻々と変化する実現象の解析では再現性が低下する場合があった。ここでは、流れの有限要素解析にカルマンフィルタを導入することにより、排水路系の流況を迅速にかつ高い再現性で予測する技術を開発することを目的とする。
成果の内容・特徴
  1.  本モデルでは、流れの支配方程式を離散化して得られた計算値に対し、観測値との比較により誤差を分配し、観測値に含まれる外乱と計算で生じる誤差を除去することで計算結果の改善を図った(図1)。
  2.  本モデルの再現性の検証のため、水路内を伝播する正弦波の動き(図2)を解析した。通常のモデルによる解析結果は、理論値に追従させることができなかった(図3a)。これは、境界条件に含まれる外乱や計算の過程で生じる誤差によるものと考えられる。
  3.  カルマンフィルタを導入したモデルでは、検証した3地点でいずれも計算開始後すぐに理論値と一致する値が得られ、その後も安定して計算を行うことができた(図3b)。
  4.  方程式系を展開した結果、本モデルで計算が安定化するのは、カルマンフィルタの導入で支配方程式に人工粘性項が付加されるためであることが分かった。

成果の活用面・留意点
 本モデルを適用して流況を推定するには、代表的な地点での水位、流速の観測値が必要である。*カルマンフィルタ:1960年代に開発された状態推定手法の一つで、現在では、GPS(Global Positioning System)衛星からの信号の雑音除去などに用いられている。


図表1 227986-1.gif
図表2 227986-2.gif
図表3 227986-3.jpg
図表4 227986-4.gif
カテゴリ GPS 水管理

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