都市農業と都市農地問題──首都圏ゾーニング下の専業的農業の実態を中心に──

タイトル 都市農業と都市農地問題──首都圏ゾーニング下の専業的農業の実態を中心に──
担当機関 農業構造部
研究期間 1990~1992
研究担当者
発行年度 1992
要約 計画的都市農業と経過的都市農業の2類型に分けて,都市農業の実態を分析し,都市地域に存在する農業・農地が農業生産をはじめ多面的な役割を果たしていることを明らかにし,都市農業,都市農地を都市計画上に適正に位置づけることの重要性を指摘した。
背景・ねらい 農地から宅地等への転用が進む都市部においても,専業的農業が展開されている実態に注目し
,こうした都市農業と都市農地の存在形態とそこでの問題点を明らかにすることを解題とした。
都市化が進展している首都圏を対象に実態調査を行ったが,その際には全面市街化区域に覆わ
れた都下(江戸川区)と農振・農用地の設定により農地を保全する取り組みを行っている横浜市
とを対比し分析した。また,あわせて市民農園等,農地の多面的利用の実態を明らかにした。
成果の内容・特徴
  1. 市街化区域の農業は,経過的ないし残地農業としての性格が強いが,こうした市街化区域でも
    専業的農家が営まれている。江戸川区の事例調査からは次の点が明らかとなった。経営形態と
    しては,施設栽培を基幹とした軟弱野菜の周年生産が多く,高い農業所得を実現している。一
    部では雇用労働に依存した企業的経営も展開している。また,その多くは不動産業を兼営して
    いる(表1)。 

  2. 農振・農用地制度と市独自の農業専用地区制度とを組み合わせ農地を保全する取り組みを行っ
    ている横浜市の事例からは,同じく軟弱野菜の周年栽培を中心に専業的農家がいわば集落ごと
    維持されている実態が確認された。市街化区域とあわせこうした軟弱野菜を中心とした経営形
    態は,従来の一般耕種作物から果菜類主体の野菜作を経て形成されてたものである
    (表2)。
  3. 都市地域における農業振興という点では,以上の横浜市の事例が先見的な取り組みであるとい
    える。同じく横浜市では,専業的な農業を振興するという取り組みのほかにも都市住民との交
    流等をめざした都市農地の多面的な利用が図られている。これらも農地を区域区分した都市計
    画を基礎においている(表3)。
成果の活用面・留意点 分析の中心となった専業的都市農業の実態は,生産緑地法の改正前のものであり,その後の実
態について引き続き追跡すべき課題として残されている。
図表1 228251-1.gif
図表2 228251-2.gif
図表3 228251-3.gif
カテゴリ 経営管理 施設栽培

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