生乳市場国際化に向けての北海道の飲用化戦略の影響と産地間協調

タイトル 生乳市場国際化に向けての北海道の飲用化戦略の影響と産地間協調
担当機関 農業総合研究所
研究期間 1996~1997
研究担当者
発行年度 1996
要約 北海道の生乳移出目標(110万トン)が達成されるのは、ほぼ完全競争の状態であり、都府県だけでなく北海道の受取乳価も下落すること、北海道生乳の飲用化が進む中で都府県のブロック化が行われると、都府県は飲用シェアの低下と価格下落の二重の損失を受け、ブロック化がかえって収益低下につながる可能性を示した。
背景・ねらい 北海道は、国際化の進展による加工原料乳市場の縮小をにらみ、近い将来の都府県への飲
用向け移出目標を現状のほぼ2倍の110万トン(製品での移送を含む)と示し、飲用化戦
略を着々と進めているため、加工原料乳の保証価格が据え置かれているにもかかわらず、
飲用乳価が加速的に下落する状況が生じている。そこで、道外移出110万トンという北海
道の目標が達成された場合の生乳市場への影響、また、現在都府県で指定団体のブロック
化が進められているが、都府県がブロック化により飲用向けへの生乳集中を抑制しようと
しているところへ北海道が依然として飲用化戦略を進めた場合の生乳市場への影響を不完
全競争空間均衡モデルで分析した。
成果の内容・特徴
  1. 道外移出110万トンという北海道の目標が達成される状況は、1993年の生乳需給構造を与件
    として、各産地が飲用乳価の低下を見込まずにprice-takerとして飲用市場に生乳出荷を集
    中させる完全競争の状態にほぼ等しい(表の(1))。全
    国的に低乳価が形成され、北海道にとっても、現状より4円程度も低いプール乳価がもたら
    される。北海道の輸送費控除後の受取飲用乳価は68.8円で、加工原料乳の保証価格を割り込
    んでいる。すでに限度数量の上限に達している場合、輸送費控除後の受取乳価が、少なくと
    も基準取引価格を超えるかぎり道外移出は続けられる。
  2. 都府県がブロック化により飲用向けへの生乳集中を抑制しようとしているところへ北海道
    が依然として飲用化戦略を進めた場合には、北海道以外のすべての地域で、プール乳価が
    完全競争水準よりも低くなる(表の(2))。これは、都
    府県のブロック間では、飲用乳販売を抑制していたところに、北海道が「抜駆け」的に移
    出を増やすことになるため、都府県側としてはシェアは奪われ(加工が増え)、受取価格
    は安くなるという二重の損失にみまわれるからである。このように、ブロック化それ自体
    に、自立的な乳価維持機能があるわけではなく、乳価維持が実現されるためには、各ブロ
    ック間、とりわけ北海道と都府県ブロックの間に、一定の競争ルールを決め、一定の協調
    を維持しうる全国的調整機能が必要なことがわかる。
成果の活用面・留意点 国際化をにらんだ生乳出荷団体の競争と協調の選択により、どのような生乳需給構造
と価格水準がもたらされるかを明らかにし、市場開放下における生乳流通政策を検討
するための判断材料を提供する実践的なモデルとして役立つことが期待される。
図表1 228370-1.gif
カテゴリ 加工 出荷調整 にら 輸送

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