品目別分析による野菜価格安定制度の評価手法の開発

タイトル 品目別分析による野菜価格安定制度の評価手法の開発
担当機関 評価・食料政策部
研究期間 2001~2002
研究担当者
発行年度 2001
背景・ねらい 野菜価格安定制度は当該年度に価格低下があった場合に一定の条件により、事後的に生産者に価格補填(交付金交付)を行うことで、次年度以降の安定的な生産を確保することを目的としている。こうした野菜価格安定制度が果たしてきた役割を明らかにした研究は十分に行われていない。
このため、本研究では、費用対効果分析等の手法を用いて個別の品目に着目しつつ野菜価格安定制度を評価・検証するための評価手法を開発する。
まず、交付金交付の対象となる指定産地と対象とならない非指定産地との対応を比較し、価格安定制度が指定産地においてどの程度、生産安定に貢献しているかを検討する。
その上で、価格安定制度が無かった場合に、指定産地も非指定産地と同様の対応を行う(価格低落の翌年には指定産地も非指定産地と同程度に作付面積を削減する)と仮定し、それによる出荷量と価格の変化が取引価額に与える影響を推計し、これと制度運用にかかわる費用とを対比することで、同事業の評価を行う。
13年度は、交付金交付額が大きい(したがって、需要量が多く、かつ年次による生産変動が大きい)品目であるキャベツを主たる対象に検討した。明らかとなった点は以下のとおりである。
(1) 交付金が交付された(すなわち価格が低下した)翌年の同季の作付について、指定産地は非指定産地と比較して、総じて生産を維持する(ないし減少が少ない)対応を行っている(図1参照)。
例えば、交付金交付額の大きかった平成4年度冬季と8年度夏秋季であるが(それぞれ10億円以上の交付額)、この時期の価格低下が著しかったことを示している。これを受けて翌年同季には、作付面積は、全体で対前年比でそれぞれ、▲1.82%、▲2.94%と減少した。このうち、非指定産地は▲2.44%、▲6.84%であったのに対して、指定産地では▲1.21%、0.41%(増加)となっている。他の作期についても、若干の例外はあるが価格低下の翌年作において、指定産地の作付減少の方が小さいという結果となっている。
(2) 上の傾向を確認した上で、指定産地が非指定と同様に翌年の作付面積を減少したと仮定すれば、その結果もたらされる出荷量の減少が価格(卸売価格)を押し上げることになる。この仮定価格と仮定出荷量を乗じたものを仮定取引価額(A)とする。(A)から現実の取引価額(B)を減じた価額を安定制度の効果とみなした(以上の関係は図2参照)。
(3) 出荷量減少に伴う価格上昇(幅)を求めるために、別途、キャベツの需要関数を求めた。
同関数は平成2年から11年までの四半期別のデータによる、Q=f(p、c、d1,d2、d3)の両対数モデルである(cは民間最終消費支出、d1~d3は季節ダミー、修正済み決定係数0.828)。ここで求められた需要の価格弾性値は-0.121であり、その逆数である価格伸縮性は-8.25となる(すなわち、供給量が1%減少(増加)した場合、価格は8.25%上昇(低下)することになる)。
(4) (3)の結果を基に、各年次・季節区分ごとの効果を算定した。また、同制度運用のためのコストを交付金交付額(C)とみなした。同制度の費用対効果は、(A-B)/(C)となる。同結果により、キャベツにかかる平成元年から10年までの価格安定制度の費用対効果は、13.0と推計された。年次・季節区分ごと費用対効果に注目すれば、前年同季で交付金が10億円を超えた平成5年度冬季作、9年度夏秋季作、それぞれ2.7、14.4となった。(以上表1参照)
(5) 別途、ねぎに関しても推計を行い同様の傾向の結果得ることができた(近年で最も交付金交付額が大きかった平成8年度秋冬季と次年度同季を比較検討)。
[成果の発表,活用等]
成果の内容・特徴 13年度は、交付金交付額が大きい(したがって、需要量が多く、かつ年次による生産変動が大きい)品目であるキャベツを主たる対象に検討した。明らかとなった点は以下のとおりである。
(1) 交付金が交付された(すなわち価格が低下した)翌年の同季の作付について、指定産地は非指定産地と比較して、総じて生産を維持する(ないし減少が少ない)対応を行っている(図1参照)。
例えば、交付金交付額の大きかった平成4年度冬季と8年度夏秋季であるが(それぞれ10億円以上の交付額)、この時期の価格低下が著しかったことを示している。これを受けて翌年同季には、作付面積は、全体で対前年比でそれぞれ、▲1.82%、▲2.94%と減少した。このうち、非指定産地は▲2.44%、▲6.84%であったのに対して、指定産地では▲1.21%、0.41%(増加)となっている。他の作期についても、若干の例外はあるが価格低下の翌年作において、指定産地の作付減少の方が小さいという結果となっている。
(2) 上の傾向を確認した上で、指定産地が非指定と同様に翌年の作付面積を減少したと仮定すれば、その結果もたらされる出荷量の減少が価格(卸売価格)を押し上げることになる。この仮定価格と仮定出荷量を乗じたものを仮定取引価額(A)とする。(A)から現実の取引価額(B)を減じた価額を安定制度の効果とみなした(以上の関係は図2参照)。
(3) 出荷量減少に伴う価格上昇(幅)を求めるために、別途、キャベツの需要関数を求めた。
同関数は平成2年から11年までの四半期別のデータによる、Q=f(p、c、d1,d2、d3)の両対数モデルである(cは民間最終消費支出、d1~d3は季節ダミー、修正済み決定係数0.828)。ここで求められた需要の価格弾性値は-0.121であり、その逆数である価格伸縮性は-8.25となる(すなわち、供給量が1%減少(増加)した場合、価格は8.25%上昇(低下)することになる)。
(4) (3)の結果を基に、各年次・季節区分ごとの効果を算定した。また、同制度運用のためのコストを交付金交付額(C)とみなした。同制度の費用対効果は、(A-B)/(C)となる。同結果により、キャベツにかかる平成元年から10年までの価格安定制度の費用対効果は、13.0と推計された。年次・季節区分ごと費用対効果に注目すれば、前年同季で交付金が10億円を超えた平成5年度冬季作、9年度夏秋季作、それぞれ2.7、14.4となった。(以上表1参照)
(5) 別途、ねぎに関しても推計を行い同様の傾向の結果得ることができた(近年で最も交付金交付額が大きかった平成8年度秋冬季と次年度同季を比較検討)。
図表1 228491-1.jpg
図表2 228491-2.jpg
図表3 228491-3.jpg
カテゴリ キャベツ コスト 出荷調整 ねぎ レタス

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